読書日記PNU屋

読書の記録

2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

田中啓文「落下する緑 永見緋太郎の事件簿」

2005.11東京創元社\1,890 存在が自由なサックス奏者・永見緋太郎が、身近な謎を ひょうひょうと解く!ミステリー。 いやぁこれは面白い!もともと私が田中啓文作品好きというのも あるのだが、ダジャレオチが無くてもイケる、クールでありながら 要所要所に…

二階堂黎人「カーの復讐」

2005.11講談社\2,100 エジプト秘宝展を狙うルパンだが、主催者である学者に 脅迫状が届いていることを知り、事件にかかわっていくことに。 さまようミイラは何を望むのか…。 ルパン・シリーズをジュブナイル向けに翻訳した…という体裁の 講談社ミステリーラ…

島田荘司「エデンの命題」

2005.11光文社\980 2篇の中編を収録。 「エデンの命題」アスペルガー症候群患者を集めた楽園のごとき 施設アスピー・エデンで平穏に暮らすザッカリだが、 ガールフレンドのティアがいきなり失踪してしまう。彼宛のメールには、 おそるべきことが暴かれてい…

恒川光太郎「夜市」

2005.10角川書店\1,260 角川ホラー大賞ということで読んでみた。「夜市」 代価さえ払えば欲しいものが手に入る、謎の夜市。 夜市の店々が、やや陳腐なイメージではあるのだけれど、 デヴュー作であることを考えると驚くべき作品。 緊迫感とサプライズに満ち…

絲山秋子「ニート」

2005.10角川書店\1,260 人に執着しない。なるようになる。自由な人々の生き方を描く。 「ニート」かつてニートだったあのころ。 「私」はあれから2年、小説家となったが彼は困窮していた。 現代的な方法で彼の苦境を知った「私」は…。 しようもないオトコな…

R.A.ラファティ「宇宙舟歌」

2005.10国書刊行会\2,205 偉大なるロードストラム船長と仲間たちの血湧き肉躍る冒険、 宇宙版「オデュッセイア」。 ああ、なんと面白い本があることだろう! 奇想極まる冒険と、ロードストラム船長のおとぼけぶりを 愛さずにはいられないのである。このあた…

アヴラム・デイヴィッドスン「どんがらがん」

2005.10河出書房新社\1,995 「ゴーレム」コントのようなすれ違いの面白さを堪能した (「ダウンタウンのごっつええ感じ」の出来のよいコントのような 可笑しさがあると感じられた)。ガンバイナーじいさんがかっこよすぎる!! 「物は証言できない」アイロニ…

書評家さんにひとこと。

雑誌の書評コーナーで必ずといっていいほど目にするのが このお方。 トヨザキ社長。 いかに面白い本の紹介文とはいえ、「読まなきゃ文盲」などの仰天発言で読者の度胆をぬくお人だぁ。 そは書評界のひよどり越えかドン・キホーテか。 このお人に嫌いな本がこ…

かってにさんすう

これだけ物語が世の中に氾濫すれば似てる設定の物語が出てくる こともあるでしょう。しょうがないことだと思う。 でも、あとから出すのであれば先の作品の面白さやレベルを越えて くれないと後発の意味がないのじゃないかなー。 そういう意味で愛川晶先生「…

つまらないのは誰のせい?

そりゃないよ、作家さま。…と言いつつ… この本は超・面白いです。 角田光代先生「この本が、世界に存在することに」。タイトル通り、この本を出してくれてありがとう と言いたい気持ちに。本好きならば泣きそうになるくらい、 共感しまくりの1冊ですてきな…

ブログ統合。

それは今年6月のこと。 アメーバブログで「jane-doe」名義でブログを作って みたのだが、そんなにいくつもブログをやるには 気力体力知力の限界を感じたので そちらの記事をココ(はてな)に引き上げてみる。 元ブログはたったの4件しか投稿してないし、 …

左田野渉「復刊ドットコム奮戦記」

2005.8築地書館\1,785 絶版書籍を復刊させるため奮闘する日々のノンフィクション。 歯切れの悪いところは、公開不可の裏事情があるためらしい… そこをこそ読みたかったが、それはまたの機会に、なんだろうね。 どんな本が復刊を期待され、また復刊なしえたの…

柾悟郎「さまよえる天使」

2005.10光文社\1,785 それは死体、それとも人形?吸血鬼とも呼ばれる三百分の一の速度で 生きる人々の物語。 「ブレスレス」「影とひとりぼっち」「球光」「さまよえる天使」 「ダイヤモンドと錆と」「ブルームーン・ライジング」 「ブエノスアイレスで私は…

鯨統一郎「庖丁人 轟桃次郎」

2005.10早川書房\1,785 桃次郎は料理屋「ふく嶋」の板前におさまったが、彼の周囲には いつも奇怪な殺人事件が…殺人犯を“料理”するのは一体…。 「冥福を祈るな」「死んでゆくのはなぜか」「悪ふざけは嫌いだ」 「厭なことは忘れよう」「俺は悪魔か」「怖い人…

神永学「心霊探偵八雲4 守るべき想い」

2005.11文芸社\1,050 教育実習生として晴香が向かった学校で、幽霊騒ぎが起きる。 謎の焼死体は一体?八雲は謎を解けるか。 シリーズ4作目なのだが、キャラクターが楽しいものの、 事件の謎自体は予想がつきやすくなってしまっているかも。 ミステリマニア…

大倉崇裕「丑三つ時から夜明けまで」

2005.10光文社\1,575 難事件の犯人は、幽霊? 捜査五課の活躍を描くユーモアミステリ連作集。 「丑三つ時から夜明けまで」「復讐」「闇夜」「幻の夏山」「最後の事件」 を収録。 主人公は、静岡県警捜査一課に属しているが、強い霊能力ゆえ 捜査五課から見込…

川上弘美「此処彼処」

2005.10日本経済新聞社\1,365 きらめくセンスでつむがれた、場所に関する記憶エッセイ。 私は著者に嫉妬する。素敵な記憶をお持ちなこと、 そしてそれをありありと読者に伝えうる類い希な文才に。 五感を駆使させ想像力を喚起する文章を読むと、まるで著者の…

霧村悠康「摘出 つくられた癌」

2005.10新風舎\1,890研修医2年目で、とんでもない間違いを犯してしまった男。 しかしそのミスに、教授までもが気付くことはなかった。 現役医師である著者ならではの、着想がいかされている。 デビュー作ということをさしひいても男女の言葉遣いの古風なと…

村上龍「半島を出よ」上・下

2005.3幻冬舎\1,890,\1,995 北朝鮮の特殊な殺人訓練を受けた軍人たちは、たった9人で 九州福岡ドームを占拠した。九州にいついていた少年犯罪者集団は、 面白半分から戦いに参加していく。 物語は近未来、2010年からスタート。私は社会情勢について述べ…

折原一「グッドバイ 叔父殺人事件」

2005.11原書房\1,995 叔父がネットの集団自殺に参加? なぜか叔母は、叔父が殺されたのだと直感し甥に事件調査を命令する。 ネット自殺に参加した奇妙奇天烈な人々。なんとも怪しくもおかしな 折原ワールドにひきこまれてしまった。登場人物がみな癖があり、…

池上永一「シャングリ・ラ」

2005.9角川書店\1,995 天高くそびえ立つエリートのための巨大都市「アトラス」、 それを見上げながら地上で闘うゲリラの少女首領・國子。 金はうち捨てられグラファイトが高価な炭素経済の世界、 アトラスランクとは、そしてアトラスは何のために建てられた…

西尾維新「ネコソギラジカル下 青色サヴァンと戯言遣い」

2005.11講談社\1,134 狐面の男とふたたびあいまみえる「ぼく」こと戯言遣い、 いーちゃん。赤き制裁vs橙なる種、の決着もついて、 戯言シリーズ堂々のフィナーレ! こ、こ、このラストはぁーっ!ファンにはグゥの音も出ない カンペキなラストなわけで…いや…

桜庭一樹「少女には向かない職業」

2005.9東京創元社\1,470 女子中学生が、夏に殺人を犯した。 アル中の義父に脅える葵は、静香との出会いで人生が変わっていく …サスペンス。 冒頭で、ヒロインは人を二人殺したことを誰にあてるでもない日記(?) 中で告白する。そこから読者は、〈どうなる…

辻村深月「凍りのくじら」

2005.11.¥1040凍りのくじら 高校生の理帆子は父ゆずりで藤子・F・不二雄先生の大ファン。 ドラえもんの世界に憧れながら、子供と大人のはざまで揺らめく 少女を描くサスペンス。 うーん、「冷たい校舎の時は止まる」「子供たちは夜と遊ぶ」が 好きだったん…

響堂新「白魔の湖」

2005.10角川春樹事務所\1,995 南極大陸を探検しようという日本の若者たちは、不慮の事態から ヴォストーク湖掘削キャンプにしばし身を寄せることに。 人跡未踏の氷の下から、謎の光るタンパク質が発見された。 これは未知なる清明なのか?その後、キャンプを…

ヘレン・モリソン博士・ハロルド・ゴールドバーグ「隣に棲む連続殺人犯」

2005.10ソニー・マガジンズ\2,520 医学博士であり、精神科医として長年シリアルキラーとの面接を行ってきた 著者の、大胆なシリアルキラー起源説。 アンチ「ロバート・K・レスラー」本でもある。 T.ハリスのフィクションに出てくる「クラリス」に例えられ…

島田荘司「摩天楼の怪人」

2005.10東京創元社\3,000 病床につく大女優ジョディ・サリナスは昔犯した犯罪を告白した… しかし、それは不可能犯罪。だからこそ、ジョディは容疑を免れて いたのだった。ミタライはこの謎を解けるのか! 美麗なカラー挿画付きの豪華な本格ミステリである。 …

山本幸久「はなうた日和」

2005.7集英社\1,575 「閣下のお出まし」「犬が笑う」「ハッピー・バースデイ」 「普通の名字」「コーヒーブレイク」「五歳と十カ月」「意外な兄弟」 「うぐいす」…善人がふと出会う人生の分岐点、 日常の喜びと悲しみを描く短編集。 ブンガクらしい淡いムード…

不知火京介「女形」

2005.9講談社\1,680 桔梗屋で歌舞伎役者となるべく修行するすみれ。 舞台上で役者の変死が持ち上がる…これは自殺?事故?それとも …謎を探るすみれだが。 私は一度も歌舞伎を見たことがない。日本の伝統芸能として そういうものがあるというのは知っているが…

あさのあつこ「No.6 #4」

2005.8講談社\998 ガールフレンドを助けようと、ネズミの力を借りる紫苑だが。 シリーズ1〜3ときて、急に4で私の評価が下がっているけど 面白さが損なわれているわけではない。いつもと同水準だと思う。 しかし、それにしても展開が遅すぎやしないか… そ…