読書日記PNU屋

読書の記録

2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

坂牧良太「幽霊より怖い話」

2005.5竹書房\620怪奇体験短編集。映像をノヴェライズしたものらしいが、 結末は必ずしも一致しなかったりするらしい。本書オリジナル短編もあり。 「女優ストーカー」「袋」「妄想監禁」「娘が喋れなくなった理由」を 収録している。巻頭には映像から採られ…

稲川淳二「稲川淳二の怖すぎる話 よそから来た男」

2005.6竹書房\580怪談のベテランによる新作怪談本!オーソドックスな心霊譚から サイコ体験まで、様々な味わいの体験談をリアルな語り口で紹介する。 一時期過去の体験をくり返し書いたりしてマンネリだったけれど、 伝聞体験も扱うようになってから怪談を語…

加納朋子「てるてるあした」

2005.5幻冬舎\1,785 佐々良の町で、再び幽霊あらわる?! 親の借金のために久代のもとへ預けられた照代は、せっかく 受かった高校にも行けず不満たらたらの日々を過ごしていた。 そんな彼女の前に、少女の霊が…! 2004.4幻冬舎\600 「ささらさや」の姉妹編と…

林雄司(Webやぎの目・編)「死ぬかと思った6」

2005.4アスペクト\1,050 人気WEBの投稿を本にした「死ぬかと思った」ももう6冊目! 漫画版も刊行されたりして、勢い衰えず。 私個人の感想としては、ややマンネリ化が見られる気がするが…。 やはり人間、死ぬかと思う出来事パターンは限られてくるわけで…

あさのあつこ「透明な旅路と」

2005.4講談社\1,470 女の白い首を絞めた…吉行は実家のある田舎に逃げる途中で、 白兎なる不思議な少年と幼女・カコを車に乗せるはめになる。 台風の近づく山中で、吉行を待っていた運命は…。 ホラーミステリーということだけれど、いわゆる推理小説では、 な…

朱川湊人「花まんま」

2005.4文芸春秋\1,650 どこか懐かしい関西を舞台にしたノスタルジック・ホラー。 せつなくも妖しい怪奇幻想短編集。 不条理な迫害を傍観者から描いたのが「トカビの夜」、 当事者の目から見たのが「凍蝶」であると思うのだが、とにかくしみる。 たいした理由…

坂木司「切れない糸」

2005.5東京創元社\1,890 就職が決まらず、実家のアライクリーニングでバイトを始めた和也。 しかし彼の周囲には常に謎がまきおこる。親友・沢田の知恵を拝借し、 成長していく和也の姿を清々しく描く、“身近な謎”系の ハートウォーミングな連作推理。 下町の…

小路幸也「HEARTBEAT」

2005.4東京創元社\1,575 かつて同級生だったヤオと、10年前の約束を果たすために、 闇の世界から日本に戻った委員長。そして委員長に協力する巡矢。 一方、資産家の跡取りである小学生・ユーリの住む屋敷では 幽霊騒ぎが起き、同級生で友人のエミィとハン…

山口雅也「チャット隠れ鬼」

2005.5光文社\1,470 独身男性教諭・祭戸浩実は校長の命でネットの悪から 子供を護るサイバー・エンジェルの仕事を任される。 試しにやってみたチャットにはまる浩実だが、仲良くなった 主婦「Jezebel-P」こと「いぜべる」に或る疑いを持ち…。 浩実は事件を防…

横山秀夫「ルパンの消息」

2005.5光文社\920 15年前に起きた女教師の飛び降り自殺は、実は殺人? 時効直前に謎のタレコミにより、新事実が浮上。 当時の関係者が一同に会して明かされる驚愕の真相とは。デビュー作にはその作家の全てが詰まっているとよく言われる。 そんなことはな…

片理誠「終末の海 Mysterious Ark」

2005.3徳間書店\1,995 核戦争後。ボロ船に住む圭太たちのそばを、「箱船」と 呼ばれる豪華客船がたまに通り過ぎる。 大人たちは出掛けたけれど帰らなかった。 圭太ら子どもたちも今、食糧危機から謎の豪華客船に乗り込むことに…。 アフターウォーのホラー・…

三島浩司「MURAMURA 満月の人獣交渉史」

2005.3徳間書店\1,995 可憐な女子高生・伊佐チエの住む街では、小学校消失などの 怪奇事件が起こっていた。それは魔獣の仕業であり、彼女は 火縄銃や村田銃を持ち、叢雲なる破魔の獣を従えて、魔獣と闘う さだめにあるというのだが?! 前作「ルナ」を読んで…

加藤一「妖弄記」

2005.5マイクロマガジン社\550 一人暮らしのはずなのに、部屋から謎の声が…など、 さまざまな妖怪遭遇体験記。 心霊譚収集で名高い著者が、新たに編んだのは妖怪本! 確かに、血みどろの幽霊よりも恐怖度では劣るかもしれない。 しかし、妖怪譚には、元々が…

鈴木光司「アイズ」

2005.5新潮社\1,470 実話怪談を元に作成された恐怖小説短編集。 背筋くすぐる話から、ちょっといい話まで。 「鍵穴」「クライ・アイズ」「夜光虫」「しるし」「檜」「杭打ち」 「タクシー」「櫓」「見えない糸-あとがきにかえて」を収録。 これがね…「新耳袋…

森博嗣「どきどきフェノメノン」

2005.4角川書店\1,680 大学院のドクタ・コースに身を置く窪居佳那の周囲には、 オタク青年や謎の托鉢僧など、奇妙な人がごろごろ。 そんな彼女の好きなことは、どきどきすることで…。女の子の素敵などきどき、いやなどきどきの両方が盛りだくさん! うふふっ…

桐野夏生「魂萌え!」

2005.4毎日新聞社\1,785 平凡な主婦として暮らしてきた敏子は、退職後そば打ちに 興じていた夫を急病で喪う。そして、遺産目的にすりよる息子や、 死によってあらわとなった夫の隠し事に敏子の心はパンク寸前! 彼女の幸せは、どこにあるの? いやぁ堪能した…

真梨幸子「孤虫症」

2005.4講談社\1,680 セックス依存症の主婦が綴った日記。そこには、彼女の不倫 相手が奇病で急死する様子が書かれていた。いったい何が 起きているのだろうか…? 良くできたサイコサスペンス。麻未・奈未姉妹の一見仲が良い ようで信じ合えない関係がリアル…

たらいまわし企画・第13回

夜。見えないから、恐ろしく不安。 でも、見えないからこその安堵や優しさもある。 そんな矛盾する性質をも深く内包する夜が似合う本は、どんな本だろう。私が読書指南にと、いつも拝読している「Ciel Bleu」の四季さんが、 今回主催なさっているとのこと。…

山田詠美「風味絶佳」

2005.5文芸春秋\1,290 甘やかされる人と甘やかす人の恋物語6編を収録。 私の好みではなかった。賞の選考会で、小説を書く苦労を知る 小説家たちであっても票は割れる。或る程度の文章技巧の高低を 除けば、小説の評価ってつきつめたら読者個人個人の好み で…

鳥飼否宇「痙攣的 モンド氏の逆説」

2005.4光文社\1,890 芸術評論家・寒蝉主水の行くところ、謎と殺人が…。 モンドとは、そしてアイダ・アキラとは何者なのか。 全ての謎が明かされた時、あなたはのけぞる!! これはこれは、ものすごいミステリが出てしまったものだ! 理系(とくに生物学)ミ…

倉阪鬼一郎「冥い天使のための音楽」

2005.2原書房\1,680 焼けただれた天使の像をいただく塔のある館。 その庭で行われる惨劇を見ているのは、月のみ。 友愛音楽大学の学生・香子は、憧れの先輩が失踪した謎を 友人・朋美と解こうとするが…。 ムードあるミステリ。男性陣は魅力が薄く、女性は誰…

井上雅彦「ベアハウス」

2005.2光文社\500 ミスティヒルとよばれる、霧深い土地。 そこには「魔王」と呼ばれる伝説の熊が住んでいた。 一方、そこで多発する幽霊目撃。「ブーギーホロウ」のささやき が意味することとは? 人喰う怪物が暴れ回るのだけど、その暴れ方が華麗すぎて 不…

飛鳥部勝則「誰のための綾織」

2005.5原書房\2,100女子高生「モネ」が描くミステリー小説「蛭女」。 そこに記された殺人は事実に基づくといい、飛鳥部と編集者は ミステリーの可能性を論じるが。 そこまでやるか?うーわー騙されたッ、というのはネタバレに なるだろうか?読み終えた時の…

芦辺拓「三百年の謎匣」

2005.4早川書房\1,785森江春策に遺言状の依頼をしてきた老人が持ってきた 奇妙な本。時代を感じさせるそれには、6編の様々な 時代と場所の物語が…。 未読の人の興をそぐといけないので詳細は伏せるが、 6つの味わいのある物語が味わえて、それが現在とも …

阿部和重「グランド・フィナーレ」

2005.2講談社\1,470少女の裸愛好趣味がバレて、離婚され娘の親権も失った中年・沢見。 彼は田舎に引っ込み、心機一転をはかるが? 表題作の他3編を収録。 芥川賞受賞作ということで読んでみたが…私には得るものが とくになく、がっかりであった。芥川賞選評…

政宗九さんのインターネットで選ぶ本格ミステリ大賞

こちら 参加させていただきました。すごいのはトロフィーもあるってことですよ! 賞も本格的っ。 ミステリ作家の方々が選ぶ「本格ミステリ大賞」に対し、 ネットで読者も票を投じてみましょうという楽しい企画。本格ミステリの賞を選ぶのに、自分が「物語の…

道尾秀介「背の眼」

2005.1幻冬舎\1,890作家・道尾は天狗を祀る村・白峠村に旅行した際、 「レエ…オグロアラダ…ロゴ」という呪文のような声を 耳にして逃げ帰り、友人で心霊探究家の真備に相談する。 白峠村では連続子供行方不明事件が起こり、そしてそこでは 背中に目玉が写り…

沼田まほかる「九月が永遠に続けば」

2005.1新潮社\1,680離婚を経験し、高校生の息子と二人暮らしの主婦・佐知子。 突然息子の文彦が行方をくらましてしまい、年若い恋人にも 悲劇が…いったい何が起こっているのか?! ホラーサスペンス大賞第五回受賞作であり、選考委員に よれば文章の力がある…

無理矢理選んでます?

ホラー・サスペンス大賞受賞作を読んでみてがっかり。

北森鴻「瑠璃の契り 旗師・冬狐堂」

瑠璃の契り2005.1文芸春秋\1,550冬狐堂こと、陶子の物語。シリーズ第4弾 (これには陶子も登場する蓮丈那智シリーズは数えていない) の今回も、芸術・美術の技と巧みにせまってくれて面白い。 「倣雛心中」十ヶ月に3度も返品された人形の謎を解く。 ここ…