読書日記PNU屋

読書の記録

2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

マヌエル・ムヒカ=ライネス「七悪魔の旅」

2005.7中央公論新社\2,730 七つの大罪を象徴する悪魔、ルシフェル・サタン・アスモデウス・ マンモン・レヴィヤタン・ベルゼブル・ベルフェゴールらは大魔王の 命令で時空を超え、ターゲットを罪に陥れる旅に出た…。 オカルトファンならおなじみの悪魔たちが…

奥田英朗「ララピポ」

2005.9幻冬舎\1,575 女はほしいがひきこもりの男、デパガのはずが流されてオミズ、 現実から逃避したくてAVに出る主婦…etc, どこかにいそうな男女の情けなくも物悲しい人生模様小説。 これはなんだか、伊良部の出ない伊良部シリーズのような。 初期の…

チャールズ・オグデン「エドガー&エレン1 世にも奇妙な動物たち」

2005.3理論社\1,260 町のいたずら者、双子のエドガーとエレンは隙あらば互いをも 出し抜こうとするヤンチャ極まる子供たち。 彼らの新たないたずらは…。 これはまさにお子様向けといった感じで、途中である動物が出た 時点で、ラストが予想出来てしまう。 な…

牧野修「記憶の食卓」

2005.9角川書店\1,680 名簿売買の会社で働く折原は、なぜかチャーハンの嫌いな青年。 とある名簿の中に自分の名前と写真が載っていることに気付いた 折原は、連続猟奇殺人事件に巻き込まれていく…。 いやぁ、すごい作家もいたものだ。 もう面白くて面白くて…

重松清「その日のまえに」

2005.8文芸春秋\1,500 事故、病気…身近な人との別れに対する想いを描く小説。「ひこうき雲」「朝日のあたる家」「潮騒」「ヒア・カムズ・ザ・サン」 「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」を収録。 人は生きている限り必ず命の終わる時が来る。 生…

東直己「スタンレーの犬」

2005.8角川春樹事務所\1,995 19歳の青年「ユビ」は不思議な力を持ち、一目置いている 大人・折井さんのもとで働いている。ユビに与えられた今度の仕事は、 女社長の香奈とともに旅行をすることで…。 この著者の本をよむのはまだ(2005年現在で)3冊目…

新堂冬樹「誰よりもつよく抱きしめて」

2005.9光文社\1,575 絵本作家の夫と7年間セックスレスな妻・月菜。 夫の神経症に悩む月菜は魅力的な青年・克麻に出会い、心揺れるが…。 新堂冬樹純愛路線モノ。 おお、よろめきメロドラマだ。なんてベタなのだろう。 倦怠期(厳密には違うが)の夫婦の前に…

高橋克彦「鬼 弓削是雄全集」

2005.8講談社\4,935 今まで文庫で出ていた鬼シリーズが、書き下ろし「妄執鬼」を含めて 1冊にまとまった豪華函入り本。 2002.2講談社\520 1996.10講談社\5092000.8角川春樹事務所\440 2000.11祥伝社\400 文庫でも読んではいたのだが、 まとめて読むと人間関…

貫井徳郎「悪党たちは千里を走る」

2005.9光文社\1,785 元はマジメな高杉は、彼を慕う弟分を連れて金持ちから金をだまし取ろうと アタマをひねる。そこに謎の美女が現れ…。 へっぽこ詐欺師トリオが、狂言誘拐を行おうとしたが事態は思わぬ方向へと 進んでいくのだった。 誘拐ネタということで…

大石圭「死人を恋う」

2005.9光文社\580 自殺しようと、久しぶりに外へ出たひきこもり青年は、偶然に 集団自殺決行の場に出くわしてしまう。そこで美しい女子高生の 遺体を見つけた彼は、不埒な行為におよび…。 気持ちいいくらいグロテスクな、ド変態小説。 ネクロフィリア趣味全…

馳星周「楽園の眠り」

2005.9徳間書店\1,680 虐待されたもの同士が出会い、逃げようとするが社会は厳しく…。 これは、人間の愚かしさ、弱さ、醜さをえぐり出す作品だ。 エンターテインメントとして読むには少々重い、だがその割に児童虐待の 心理、問題の扱いがどこか半端に感じら…

アレックス・シアラー「ミッシング 森に消えたジョナ」

2005.8竹書房\1,365 ジョーとジョナは親友同士だったが、ジョナはある朝、 消防車を追いかけて行ったきり姿を消してしまう。 ジョーのジョナへの想い、そしてそれゆえの悩みは切々と伝わって 来て良かったんだが、後半サスペンスに変調するところがやや残念…

梶尾真治「波に座る男たち」

2005.7講談社\1,785 調理師の麓は、借金からヤクザと縁が出来てしまい、なんと 捕鯨船に乗り込むはめに…。 冒頭こそシリアスで驚くが、コメディタッチのライトな作品。 タイトルでは「男たち」になっているが、約一名の強く美しき女性が 男性をしのいでの大…

奥泉光「モーダルな事象 桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活」

2005.7文芸春秋\1,950 一流を目指していたのに、いつしか冴えない五流文学者になりはてて しまったクワコウこと桑潟幸一。そんなクワコウのもとに持ち込まれた、 ほぼ無名の作家・溝口俊平の遺作…それが全てのはじまりだった!! 本格ミステリ・マスターズの…

石田衣良「東京DOLL」

2005.7講談社\1,680 ミリオンヒットを飛ばし、マスター・オブ・ザ・ゲームと 呼ばれるMGは、コンビニのレジの女性に新作のインスピレーションを 感じ、モデル契約する。その少女・ヨリには不思議な力があり…。 エロティックな純愛小説。 なんだかお互いス…

大石圭「1303号室」

2005.8河出書房新社\1,303 マンションで繰り返される投身自殺。それは本当に自殺なのか…? 著者最恐小説ということで期待したのだけど、一番怖かったのは 表紙の写真かなぁ。 13階の眺望最高なマンションで、入居後女性が次々死んでゆくのだが、 なぜこの…

堂場瞬一「バッド・トラップ」

2005.7幻冬舎\1,785この本で一番面白かったのは、表紙カバーのイラストだった。以上。 …ではあまりにそっけないので、ざっと振り返ってみると…。口がうまくて優男の詐欺師・リュウは演技がうまく肝のすわった美女・彩と、 ベジタリアンで元・傭兵の御手洗と…

藤崎慎吾「ハイドゥナン」上・下

2005.7早川書房\1,785\1,785共感覚を持つ少年・伊波岳志は与那国島の巫女的存在である後間柚と 出会い、惹かれ合うが…日本には未曾有の危機が迫っていた…。 本書で最も面白いと思えたのは、プロローグだった。本作と比較される設定らしき小松左京の「日本沈…

篠田真由美「すべてのものをひとつの夜が待つ」

2005.7光文社\960 杜夫は幼なじみの冬樹のおともとして、遺産相続のための試験に 参加することに。強引で勝手な冬樹にふりまわされつつも宝探しは 始まったが、そこで変死体が!これは連続殺人? 田舎の途方もない金持ちが所有する孤島の館、 外界と隔絶され…

佐藤憲胤「サージウスの死神」

2005.5講談社\1,470 デザイナーの華田は、ある時ビルから投身自殺する男と目があって しまう。以来、彼の生活は一変した…。 初めて読む作家だが、これはたいしたものだ!平山夢明・灰崎抗のような闇色に輝く作家、怪奇幻想小説が 好きならば見逃す手は無い1…

I LOVE YOU

2005.7祥伝社\1,680 「きっと恋がしたくなる」がキャッチ・フレーズの、恋をテーマとした作品集。 伊坂幸太郎「透明ポーラーベア」 お姉さんの元彼とばったり会ったのは、動物園だった。 作品同士がつながる趣向は短編でも健在、某ミステリーとリンクして い…

明日土曜、だんなJIMMY君がライブやります。

電波交信ムーヴメントVOL.2 (2とは言うけど続き物ではないのでこれからでもオッケー)9月10日(土)鶴見CLUB TOP'S 17:30 開場 17:40 OPENING DJ :TAGRO 18:30 開演 出演バンド:サイクロンうなぎトロピカル、タキオン、 裸足with…

西尾維新「ニンギョウがニンギョウ」

2005.9講談社\1,575 一七番目の妹のために、映画を見なければならない…。 奇妙な直感と、思いこみに満ちた悪夢のようなファンタシィ。 「ニンギョウのタマシイ」「タマシイの住むコドモ」「コドモは悪くないククロサ」 「ククロサに足りないニンギョウ」を収…

エルモア・レナード「ママ、大変、うちにコヨーテがいるよ!」

2005.7角川書店\1,680 コヨーテのアントワンは常々人間のペットになりさがった犬たちを バカにしていたが、ある時ジャーマン・シェパードのバディと出会い、 人間の家で暮らしてみることに…。 野性味たっぷり(なにしろ、プードル犬やペルシャ猫を美味しそう…

五十嵐貴久「2005年のロケット・ボーイズ」

2005.8双葉社\1,680 まるっきり文系人間の高校生が、「キューブサット」なるものの 設計図を、ロケットコンテストのために作らねばならず、人脈を駆使し てそれらしいものをでっち上げる青春ストーリー。 理系青春モノというと、真っ先に思い浮かぶのが石田…

古川日出男「LOVE」

2005.9祥伝社\1,680 東京に息づく変人たちと野猫たち。 「ベルカ、吠えないのか」への猫的アンサーだというこの小説。 私には、残念ながら良さがわからなかった。 ベルカにおける犬ほど、猫は前面には出ていない。 作中の神である著者は、全てが把握出来てい…

永井するみ「ビネツ −美熱−」

2005.6小学館\1,890 エステティシャンの麻美は、マッサージの上手さで幸運を手に 入れた。しかし彼女の周りにはキナくさいことが起こり始め…。 エステティック・サスペンス。 「本の雑誌」等で“いつか傑作を書く!”と注目されている 作家・永井するみ。前半…

松尾由美「雨恋」

2005.1新潮社\1,470 雨の日しか逢えない同居人に、とある謎解きをたのまれた主人公。 にわか探偵として謎を追ううち、彼はいつしか…。 「彼女」、千波が肝心なことをなかなか言わないで思わせぶりで あったり、紳士と思いきや時なまなましい心情を告白してみ…

津原泰水「赤い竪琴」

2005.1集英社\1,785 女が、男に出会った。そして恋がはじまる。 つかみがすごくて、凛とした彼女にニヒルでダークな男、 そしてなぜ彼女がそれを持っているのか?などなど、気付けば 作中世界にのめり込んでいってしまう。 ああ、この作品についてはあらすじ…

歌野晶午「女王様と私」

2005.8角川書店\1,680 親にパラサイトして生きる、ひきこもりのデヴキモオタ。 「〜だぉ」と萌え言葉でしゃべる妹の絵夢だけが会話相手だ。 そんな彼が、街で出会ったのは凛々しく可愛い女王様で…? 問題作問題作と煽られていたが、読んでみればああこれは …