読書日記PNU屋

読書の記録

2005-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2005盗作問題「誰のための綾織」。

漫画家S.Y.が「スラムダンク」から構図を盗用していたとして 単行本回収・絶版、連載中断となったり、 小説家S.H.が自作中で名作少女漫画のストーリーをパクったりして 騒ぎとなったり、2005年は盗用・盗作がクローズアップされることが 多かっ…

エッセイ&ノンフィクション

BESTからはこぼれたけれど、私がめっけもの!と思った本をご紹介。 エッセイ ★川上弘美「此処彼処」 2005.10MYランキングには同著者の 「東京日記 卵一個ぶんのお祝い。」の方を入れてあるけれど、 こちらも負けず劣らず面白さ折り紙付き。鋭い感性に…

2005ノンフィクションBEST国内版

エッセイ、実話、旅行記などをひっくるめて2005ベストを。 どうしても、エンタメ小説を優先しちゃうから、読了エッセイ少なめですな。 しかし、このエッセイというものは、身近な舞台なだけに当たるとヘタな 小説よりめちゃうけだったりするのであなどれ…

恩田陸「エンド・ゲーム―常野物語」

エンド・ゲーム恩田 陸著集英社 (2006.1)エンド・ゲーム 常野物語 (常野物語)価格 :1,575円通常24時間以内に発送します。bk1で詳細を見るAmazonで見る 時子は、母が倒れたという知らせを受ける。 母は「裏返された」のか?時子が知る驚愕の真実とは。 「光の…

海外オススメ本2005

ベスト10では紹介しきれなかったけれど、私が読んだ 数少ないフィクションの中ではこれらも忘れがたい印象を残した… というものをあげてみたい。 ★SFジャンル面白いってのは、こういうことよ 山本弘・編「火星ノンストップ」 2005.7編者の眼力ただもので…

2005年海外ものベスト10

2004.10〜2005.10までの1年をふりかえって、 オススメ本を記してみたいと思う。 ランキングとは言っても母集団があまりに少なすぎるんで、 信憑性に欠けるわけだけど私という人間がこんな本を読み 面白いと思った、そんな記録であります。 翻…

前田朋子「熊野に来た女」

2005.12彩図社\588 本格推理2篇を収録。 「熊野に来た女」世界遺産・熊野で起きた殺人…。 オーソドックスな推理もの。純情に見えて計算高くもある小説家の 心情にやや納得がいかない点もあるが、熊野に行ってみたくなるかも。 「透明な氷」子供は天使か悪魔…

加納朋子「ななつのこものがたり」

2005.9東京創元社\1,785 あのハートフルな物語、絵本版。菊池建絵共著の絵本である。 イラストが美しくあたたかみがあって素敵。 猫好きな人におすすめしたい、可愛い本。可愛いだけで終わらず、 世の悲しみや不条理もちょっぴり盛り込んで、それでも後味の …

2005読書ベスト企画。

そろそろ今年・2005年もおしまいということで、 ベストテン企画だよ。キリがないので、奥付が2004.11〜今年10月までの本に限って ご紹介いたします。10月で区切るというのをうっかりダンナに話したら、 「なぜ今年は12月まであるのに、 2…

「クリスマス・ストーリーズ」

2005.11角川書店\1,575 人気作家たちが書く、クリスマス・ストーリーズ。 単行本は箔押しというのかなんだか赤と緑でキラキラした 麗しき装丁で、これはクリスマスのうかれポンチな雰囲気を 出しているのかなぁ、さぞやスゥイートでラヴリーな恋人や 家族の…

本格ミステリ・ベスト10の10

本格ミステリ・ベスト10 2006さあ、ついにベスト10.…とはいえ、私はなんと2・4・6・9位の 作品を未読というおそるべき怠惰…。 気を取り直していってみますか。10位 ○S.S.先生 これは納得でしょう! デヴュー作こそは好みでなかった私も大…

本格ミステリ・ランキングに思う。

20〜11位まで。 本格ミステリ・ベスト10 2006 ○20位 T.H.先生=「このミス」12位 1冊の本がまるであの生物のごとく、様々に読み味を変えて いくところなど絶品。ラストがワケわかんないですけど。 誰かラストの意味教えてください。 ◎1…

2006本格ミステリ・ベスト10

このミス企画に引き続き、「本格ミステリ・ベスト10」によせる想い も綴ってまいります。2005.12原書房\893近所の本屋では、フツーの本好きには「このミステリーがすごい!」 「このミス」で満足出来ない通な読者には「本格ミステリ・ベスト10」 をオス…

道尾秀介「向日葵の咲かない夏」

2005.11新潮社\1,680 多発する犬猫殺し。ミチオはクラスメートのS君の死体を見つけて しまう。逃げ帰るミチオのもとにやって来たのは、生まれ変わった S君だった…? 眩暈を呼ぶホラー・サスペンス。 私はこの著者のデヴュー作「背の眼」のこじつけっぽい展…

明野照葉「痛いひと」

2005.11光文社\1,575 移動管理人・根木は、ある特殊能力を持っていた…心霊サスペンス連作集。 これは単行本オビに、 「あなたの隣」だとか「どこかで出会っているかもしれない」などの文字が 躍るので、リアルな恐怖を期待してしまったのだけど内容はスーパ…

町田康「東京飄然 作家のとらえた幻想的な東京」

2005.10中央公論新社\1,890 ふと思い立って、ふらりと行き先も決めず旅に出る。 そんなフリーダムなトリップを詩的に表現する泣き笑いエッセイ。 エッセイとは紹介したものの、これはジャンル分けをするのが 困難な本である。東京近郊日帰り旅行記でもあるし…

重松清「きみの友だち」

2005.10新潮社\1,680 友だちって、いったいなに?たくさん友だちがいるのに寂しい子、 親友を求める子…しみじみと心打つ友情物語。 重松清小説ってベタでクサいんだよねーと思っていてごめんなさい。 これには私、負けましたわ。甘さだけでなく、厳しさだけ…

真梨幸子「えんじ色心中」

2005.11講談社\1,680 名門X中学目指して受験戦争を闘いぬいた親子。 しかし合格後、子は殺害され父は自首したが…。 「孤虫症」で衝撃のデヴューを飾った著者の第二作。 書評サイトを幾つか拝見したが、おしなべて評価は低め。 私は割と好きだが。まあそれは…

栗田有起「マルコの夢」

2005.11集英社\1,365 就職の決まらぬ「僕」は、姉に呼ばれてフランスへ。 なりゆきから三つ星レストランで仕事(キノコ係)することになる。 そこで「マルコ」なる謎の食材の調達をたのまれるが…。 あはは、面白い。そして怖い! 一歩まちがえたらB級ホラー…

石田衣良「てのひらの迷路」

2005.11講談社\1,575 川端康成「掌の小説」からインスピレーションを得、編まれたと いうショート・ショート。 私の好みは前半の作品が多かった。 せつなく、やがてほのぼのとする「旅する本」、 クール&シュールな「完璧な砂時計」、絶望の「0.03mm…

川端裕人「みんな一緒にバギーに乗って」

2005.10光文社\1,575 新米男性保育士と、保母さんたちのハートフル・ストーリー。 新米なりたてホヤホヤ保育士の竜太が愛情たっぷりに体当たり 保育していくところが魅力。竜太中心でいくのかと思ったら、 主役が移り変わっていくのでそこがやや不満かな。ハ…

伊坂幸太郎「砂漠」

砂漠伊坂 幸太郎著実業之日本社 (2005.12)ISBN:4408534846価格 :1,600円通常24時間以内に発送します。bk1で詳細を見るAmazonで見る 仙台の大学生男女5人組と、恋愛と犯罪と世界と超能力のお話。 脇道かと思った話が本筋と深く関わったり、意外な人が意外な…

このミステリーがすごい!2006

さて、このミスのっかり企画続編だよ。 前編は昨日の日記をごらんあれ。読んで感想書いてない本も まだまだあるけど、それはまあ置いといて。けして、長文感想書くのがメンドくさいからじゃないよ…といいわけしとこう。ランキングに思うことを書いてしまおう…

このミス発売。

ミステリーとか言いつつこれはSFやんけ!ブンガクやんけ! などと文句たれたれ「このミス」をひもとく季節がやってきたよ。そのへんもあまりつきつめると、「本格とはなにか?」という 誰かお偉いさんが定義でもしてくれないと結論が出ない問題に ブチあた…

上田早夕里「ラ・パティスリー」

2005.11角川春樹事務所\1,680 フランス菓子店ロワゾ・ドールの新顔である夏織は、謎の菓子職人 恭也と出会う。 デヴュー作がSF「火星ダーク・バラード」であったので、 ついこの作品も打海文三「ぼくが愛したゴウスト」みたいなパラレルもの かと思いこん…

黒田研二

2005.11幻冬舎\1,575 5人の男たちが、それぞれの人生の転機を迎える。それは…結婚。 結婚にまつわる、コメディタッチのミステリー。 設定には無理ありありなのだが、テンポが良くて明るいムードなので 面白い。孤独を恐れるナンパ師、 自分と彼女だけの世界…

石田衣良「ぼくとひかりと園庭で」

2005.11徳間書店\1,000 親友同士の園児、あさひとみずきの前にある日美しい転入生が 現れた。彼女の名は、ひかり。 子供のために書かれた、甘すぎず辛すぎずの ジュブナイル・ファンタジー…とのことだが、なんなの この世知辛さは。 なんともやるせない展開…

ヒキタクニオ「角」

2005.10光文社\1,785 一夜にして頭に角がはえてしまった校閲者の麻起子。 切るのも怖いし、どうしたものか…彼氏に相談するが信じてもらえず?! ツカミ抜群!いきなり頭から鬼のような角を生やしてしまった うら若き乙女の運命やいかに!である。 校閲・編集…

古川日出男「ロックンロール七部作」

2005.11集英社\1,680 ロック!ロック!ロック!そして忘れずにロール!…な物語、 時代も主役もうつりつつ飽きさせない七部作。 ロックは世界をかけめぐる!そのスピードに酔いしれる作品。 ただし、やや殺人多め。聖書やら神話やらのモチーフもアレンジされ…

岩井志麻子「瞽女の啼く家」

2005.10集英社\1,470 目の見えぬ女たちが集う屋敷。そこに現れる牛女とは? 舞台は岡山、霊感女も出てきて、これはかの傑作「岡山女」 のようになるのでは?と思ったら期待はハズレた。 惜しいっ。前半はキッチュかつ不気味で面白かったが、 後半はエログロ…