読書日記PNU屋

読書の記録

霧村悠康「摘出 つくられた癌」

 
オンライン書店ビーケーワン:摘出2005.10新風舎\1,890

研修医2年目で、とんでもない間違いを犯してしまった男。
しかしそのミスに、教授までもが気付くことはなかった。
 
現役医師である著者ならではの、着想がいかされている。
デビュー作ということをさしひいても男女の言葉遣いの古風なところや、
これしかないのであろうがなんだか釈然としないオチなど小説として
気になる箇所が多々ある。
それでも、着想が目からウロコ…医療現場に携わる者でなければ
得られない発想でありながら、また医療従事者であれば持つことを
赦されぬ悪魔の着想…であったことを評価しておきたい。

1年足らずとはいえ大学病院に勤務した自分なので、ここで書かれた
大学の上下関係の絶対、隠蔽体質が身震いするほどリアルに感じられた。
 
ただ、乳房のことを「お乳」「お乳」と連呼するのがなんだか違和感が
あった。O大ではマンマでもニュウボウでもなくオチチと言っているの
かしら。
 
カバーに切れ込みを作る痛そうな装丁が島田荘司オンライン書店ビーケーワン:上高地の切り裂きジャック2003.3
上高地切り裂きジャック
単行本の装丁とソックリ。同じ装丁家なのかな???