つまらないのは誰のせい?
そりゃないよ、作家さま。…と言いつつ…
この本は超・面白いです。
角田光代先生「この本が、世界に存在することに」。
タイトル通り、この本を出してくれてありがとう
と言いたい気持ちに。本好きならば泣きそうになるくらい、
共感しまくりの1冊ですてきなんですよね。
本書のあとがきにひっかかった私。
本には適齢期というか、理解できる年齢があるということを述べて
おられるのです。「星の王子さま」を例にあげて。
「星の王子さま」は確かに、小さい子にはタイクツに感じられる
かもしれない。私も幼いころ良さが全くわからず、
いまだに読み返す気力もないくらいだし。
角田氏の意見はよくわかるのですよ。納得もいきますし。
本と読者には人同士のように相性があって、自分に合わない本を
他人は絶賛なんてこともよくあることです。
音楽の好みにも似てますよね。
自分が好きな音楽が、
他の人にはアクビが出るほどタイクツだったり、
ただの騒音にしか聞こえなかったりとか。
本って活字でわかりやすそうですが、センスやムード、文体など
案外読み手を選ぶのでしょうかね。
角田氏の本を読んで、なんでひっかかったんだろうと思ったら
これだった。
石田衣良先生「約束」
こちらでも、小説と読者の相性についてあとがきで述べておられるん
ですが、要約すると「小説に出来不出来というか良し悪しはなく、
読者に届くか届かないかだけ」と言う意味のことをおっしゃって
たんですね。
私はこの小説がきれいごとにしか思えず、
あー私には届かないわぁ!!
と思ったし、出来不出来は明らかにあるだろうとも思ったのです。
だから、小説に対する意見が一見似ている角田氏のあとがきで
ピクッとなったのだなぁ、と自己分析を終了するのでした。