読書日記PNU屋

読書の記録

2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧

新堂冬樹「天使がいた三十日」

2005.6講談社\1,470 作曲家の「私」は愛する妻と子を一度に喪い絶望していた。 そんな時、虐待されていた犬のマリーに出会って…。 これはすごくいい話である。 新堂冬樹が「忘れ雪」「ある愛の詩」など発表してきた 一連の純愛の奇跡モノの一つ。感動的であ…

東川篤哉「館島」

2005.5東京創元社\1,785 天才建築家・十文字が自ら設計した別荘で変死する。 刑事・隆行と探偵・沙樹がこの不可能犯罪謎を解こうとする中、 嵐の別荘で再び殺人が…。 どこかクラシックな印象の本書。よく言えばのどかで、 悪く言えば間延びして感じられる…。…

森博嗣「ダウン・ツ・ヘヴン」

2005.6中央公論新社\1,890 戦闘機に乗るキルドレ・草薙水素の物語。 「スカイ・クロラ」「ナ・バ・テア」のシリーズである。 単行本では毎回装丁が空の写真で美しいし、イメージにぴったり。 「スカイ・クロラ」新書版では表紙がイラストになったようだが、 …

平山夢明・加藤一・編著「「超」怖い話Z」

2005.8竹書房\580 日本最恐を誇る実話怪談集、2005年真夏を冷ます傑作目白押しで 堂々登場!ううううん、毎回すばらしいっ!何が良いかって、じわじわとしのびよる厭な何か、グロテスクの衝撃、 民話のような不可思議な訓話、SFファンタジーとも読める…

デイヴィッド・イーリイ「大尉のいのしし狩り」

2005.6晶文社\2,520ブラックでドライでビターな味わいの15篇を収録する短編集。2003.10晶文社\2,730 「ヨット・クラブ」のような奇想天外な発想を期待して読んでみた。 今回は身の回りの恐怖を扱うことが多く、「ヨット・クラブ」で 受けたような衝撃こそ…

荻原浩「さよならバースディ」

2005.7集英社\1,680 東京霊長類研究所に心理学者として勤務する真は、 恋人でもある同僚とともにある研究に着手していた。 目標はバースディと名付けられたピグミーチンパンジーに、 言葉を覚えさせて人間との会話を可能にすること。 しかし、恋人は謎の死を…

最新タイトル

読書ブログをやっていると、悩むのがカテゴリ分け。 著者か題名の「あかさたな」で分けようとすると膨大になるし、 最初やろうとした「2005.7」など発行月ごとに分けようと してもカテゴリが増え続けるし、どうしたものかと思う。ここがブログの限界と…

戸梶圭太「東京ライオット」

2005.7徳間書店\1,785 近未来、激安住民が集いスラムと化したA市。 そこに建てられた高級マンション・ソナーレは要塞のような 別世界を醸し出し、地元住民の神経を逆なでしていた。そしてついに…。 トカジ節により、激安人間の激安ぶりを書き尽くす作品。 …

桐野夏生「白蛇教異端審問」

2005.1文芸春秋\1,450 著者初のエッセイ。直木賞受賞前後の日記や書評・映画評、 ショートストーリー、匿名批評等への反論などなど含む盛りだくさんの1冊だ。 作家さんには3つのタイプがあると私は思っている。 ひとつはエッセイも小説もいかしてるタイプ…

霞流一「羊の秘」

2005.2祥伝社\920 見た夢を語り合う「ドリーキング」を行う会の一員が殺された! 奇怪な状態で発見される死体。犯人はなぜヒツジの見立てを行ったのか!? 毎度動物モチーフの見立て連続殺人を華麗に披露してくださる 著者だから過度に期待してしまったのか…

新堂冬樹「吐きたいほど愛してる。」

2005.1新潮社\1,470 変態で鬼畜、グロテスクかつスプラッタなエロス&ヴァイオレンス 短編集。生理的嫌悪感をこれでもかこれでもかと煽り立てる描写なので、 万人にはオススメしない。とくに、悲惨な妊娠やら流産の描写やら 女性虐待が目立つのでそういうの…

北國浩二「ルドルフ・カイヨワの憂鬱」

2005.5徳間書店\1,995 胎児の神経系発達に打撃を与えるゲノム・ウイルスが蔓延し、 治療法の確立していない近未来。政府は体外受精による管理出産を 義務化しようとしていた。 遺伝子問題を専門とする弁護士・カイヨワは、美女からある依頼を受けるが…。 メ…

化野燐「渾沌王人工憑霊蠱猫」

2005.7講談社\998 龍造寺から見た一連の事件の顛末。 第一部完結である。まだまだ大いなる物語の序章らしい。 今回は語り手が龍造寺というお調子者の術者であることもあって、 3冊の中では一番読みやすく楽しげなムードであったと思う。 今までの中では語り…

あさのあつこ「福音の少年」

2005.7角川書店\1,470 妖しく美しい声を持つ少年・柏木と明帆は互いの隠し持つ心の闇に 気づき、惹かれ合う。一方、二人と関係の深い少女・藍子が謎の死を遂げ、 二人は彼女の死を調べ始めるが。 「No.6」は好みだったのだが、「透明な旅路と」はピンと…

シオドア・スタージョン「輝く断片」

2005.6河出書房新社\1,995 スタージョン短編集である。河出書房新社から刊行されたSF短編集 「不思議のひと触れ」はすごく面白く思える話とピンとこない話が (あくまで私には、であるが)半々だったので、長らく食指を 伸ばさないでいたのだが、ふと手に…

西澤保彦「腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿」

2005.7実業之日本社\1,680 櫃洗市一般苦情係、銀縁眼鏡に腕貫をはめた典型的なお役人姿の 男性。彼は相談者の話を聞くだけで謎をズバリと解き明かしてしまう、 究極の安楽椅子探偵だった! 「腕貫探偵登場」「恋よりほかに死する者なし」「化かし合い、愛し…

大石圭「復讐執行人」

2005.7角川書店\620 美しい妻と可愛い盛りの娘二人、幸せを満喫していた一家を襲う惨劇。 夫は加害者への復讐を決意するが…。 大石ファンならばなるほどの展開ではある。 大石作品の世界観に浸りたい人か、初読の人ならばおすすめであろう。 私は少々食傷気…

図書館と購入本がたまってきたー。

今はコミケ前なので原稿優先。本来ならばネットしてる場合でも ないのだが、メモ代わりに積ん読本を記してみる。 (そしてこれは、でこぽんさんの読書日記のマネでもある…)国内。 海外物。 さてさて読み切れるか…?

松岡圭祐「ソウルで逢えたら」

2005.6徳間書店\1,260多額の借金を背負い、韓国ならなんとかなるかも…と 渡韓した子持ち独身三十路の明恵。韓国で彼女を待ち受ける、 意外な運命とは。 うううむ。成長モノにはありがちなことだが、独身子持ち女性に しては莫大な借金を背負いながらも悠長に…

第133回直木賞決定!

なんと朱川湊人「花まんま」受賞です。めでたい!!わたくしの感想はこちら。以前候補になった「都市伝説セピア」よりもせつなさと恐怖感が グレードアップしているんで獲ってほしかったのよ。 (ここだけの話、「さよならの空」はちとパワーダウンで心配し…

飛鳥部勝則「鏡陥穽」

2005.7文芸春秋\2,450 レイプ未遂犯を過剰防衛で殺してしまった葉子。 しかし、殺したはずの男が再び葉子の前に現れ、久遠と名乗る彼は 奇妙な鏡の物語を語りはじめる…。 うお、怪作。なにしろ本格ホラーですよ。 観念的な恐怖と狂気あり、スプラッタあり、…

横山秀夫「震度0」

2005.7朝日新聞社\1,890 阪神大震災の朝、N県警警務課長・不破が無断欠勤した。 どうも、不破は失踪したらしい?キャリアとノンキャリ組は 対立しながらも不破の失踪の謎を解こうとするが…。 惜しいッ。私、「第三の時効」のような警察内部いがみあいネタは…

上野正彦「「藪の中」の死体」

2005.4新潮社\1,365 法医学者の視点から、ミステリー小説や未解決難事件の謎を解く。 出てくる小説・創作に関してはネタバレであるので、未読で結末を 知りたくない方は気を付けて。私は知らない作品についての話も 読んでしまったが…。 創作だけでなく、下…

新津きよみ「スパイラル・エイジ」

2005.5講談社\1,575 薬剤師の美樹は20年以上も生きる金魚・ギンちゃんを飼っていた。 そこへ高校時代の級友・イワが訪ねてくるが彼女はワケありで?! そこへ美樹の元・不倫相手の妻である暁子もやって来て、もう大変! 読んでいるときはどうなっちゃうの…

ダレン・シャン「デモナータ1幕 ロード・ロス」

2005.7小学館\1,575 イタズラ者の少年・グルービッチ(通称グラブス)は、両親と姉を 一度に喪ってしまい、ショックのうちにダービッシュおじさんに引き取られる。 しかしおじの館でも、奇怪な事件が…! まるでスプラッタ系のホラームーヴィーのように、ショ…

麻耶雄嵩「神様ゲーム」

神様ゲーム麻耶 雄嵩刑事を父に持つ小学生芳雄。 彼のクラスにやって来た転校生は、自分は神なのだと言う。 一種のゲームかと思って彼の話にのる芳雄だが、話は思いもよらぬ方向へ…。 講談社ミステリーランドのために書き下ろされた作品。 小学生が作る探偵…

米澤穂信「クドリャフカの順番」

2005.6角川書店\1,680 折木奉太郎シリーズ、第三作は千反田、摩耶花、里志ら古典部の面々が 学園祭での怪盗事件を推理する。 「氷菓」「愚者のエンドロール」も読まずにうっかり読んでしまった。 オビに「ホロ苦い青春ミステリ」とあったからいちころだった…

ジョー・ウォルトン「アゴールニンズ」

2005.6早川書房\1,995 ヴィクトリア朝を模した世界。ただし、出てくるのは全て竜である。 ヴィクトリア時代っぽい身分制と宗教観を持つドラゴン・ワールド 「ティアマト国」。父の死に、うら若きドラゴンの姉妹・セレンドラとヘイナーはそれぞれ違う家に 引…

佐藤友哉「子供たち怒る怒る怒る」

新潮社\1,680 子供だからって、抑圧しないでほしい。過激な子供たちが爆発する短編集。 本書をおすすめしたいのは次の方々だ。 せつない系でない乙一作品(例:「GOTH」)のドライ&ブラックかげんが たまらない人。 大石圭作品(例:「処刑列車」)のよ…

島田荘司・小島正樹「天に還る舟」

2005.7南雲堂\966 妻の故郷、長瀞で休暇を取る刑事・中村は奇怪な死体に遭遇する。 単なる自殺と思われていたそれは、猟奇連続殺人へと発展していくのだった。 1989.7講談社\680 本作、「火刑都市」直後に起きた事件という設定らしい。 うっかりなことに、そ…