読書日記PNU屋

読書の記録

2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

レイ・ブラッドベリ「さよなら、コンスタンス」

2005.9文芸春秋\2,200 作家クレイジーの家を、ある嵐の夜国民的女優コンスタンスが 訪ねてきた。彼女は奇妙な依頼を残したあと、失踪してしまう。 友人とコンスタンスの行方を追ううちに、死体がぞろぞろ発見され…。 うううむ、これはジャンル分けが意味をな…

黒武洋「半魔」

2005.9徳間書店\1,680 17歳の誕生日に、何かが起こる。高校生の陽子は、同い年の 自殺志願少女・寛美、ちょっぴりつっぱっている金髪の理砂と知り合う。 彼女たちの持つ特殊な能力ゆえに、悲劇が襲いかかる。 スティーヴン・キング「ファイアースターター…

桐野夏生「冒険の国」

2005.10新潮社\380 夢の国、某ランドの近所に一家(父母、未婚の姉)と住む三十路の美浜。 11年前、彼女はボーイフレンドを自殺で失っていた…。 桐野夏生、幻の作品を文庫化&刊行!ということで読んでみたら、 ミステリーともサスペンスとも言い難く、ま…

平山夢明「東京伝説 彷徨う街の怖い話」

2005.11竹書房\580 都市に巣くう狂気を冴えわたる筆があますところなく書き尽くす! 出だしはいわゆる都市伝説的な話もあって、あら今回はゆるいよね〜 とすいすい読んでいたのだが。 舐めててすみませんでした申し訳ありませんとすぐに頭をたれること にな…

倉阪鬼一郎「汝らその総ての悪を」

2005.9河出書房新社\2,310 父に長年虐待されてきた浚は、街娼ナナと出会い、狂気の世界へ 二人で旅立っていく。 一言で言うとエログロナンセンスなのだろうか、だがとてもそんな言葉 では言い表せぬおそるべき作品だ。 あらすじだけ抜き出せば、狂信的な狭い…

西澤保彦「フェティッシュ」

2005.10集英社\1,995 葬式に足繁く通う男が出会ったのは、妖しいほど美しい少年だった。 一方、謎の女性連続殺人事件が発生し…。 聖少年に惹起される出来心を描く作品。 人間には、なぜ性欲があるのだろうか。種族維持のためとはいえ、 それが悲劇と犯罪のも…

川上弘美「東京日記 卵一個ぶんのお祝い。」

2005.9平凡社\1,260 作家のファンタスティックな日常を綴るエッセイは、ちょっぴり 幻想風味。何気ない日常も、著者の手にかかればなんとも ファンタジックに大変身。 たちのぼる不思議に読者はほわほわと包まれてしまうだろう。 乙一「小生物語」のように、…

有村朋美「プリズン・ガール」

2005.8ポプラ社\1,470 つきあった恋人がドラッグの大物ディーラーだったことから、 共犯とされアメリカの女子刑務所で22ヶ月を過ごすことになって しまったうら若き著者のノンフィクション。 女囚といえばレズってほんと?など長年の疑問が氷解する …かも…

伊坂幸太郎「魔王」

2005.10講談社\1,300 ふとしたことから自分の持つ能力に気付いた青年が、 ファシズムに傾きそうな日本に歯止めをかけようと試みる「魔王」と、 男の意志を知らず継ぎゆく弟とその彼女を描く「呼吸」の連作を収録。 う〜〜ん、不思議な味わいの小説…。少なく…

米澤穂信「犬はどこだ」

2005.7東京創元社\1,680 故郷でひっそり犬探しを始めようと思った紺屋のもとに、 舞い込んで来たのは人捜し?探偵志望の助手も押しかけて来て、 どうなる探偵生活。 前半がコミカルでテンポよくすいすい読めて楽しい。 …後半のムードはがらりと変わり、それ…

マイクル・クライトン「恐怖の存在」上・下

2005.9早川書房\1,785×2 島嶼国家・ヴァヌーツが地球温暖化による水位上昇で国土が そこなわれるとして、アメリカを訴えるという。訴訟費用を援助する 大富豪・モートンの顧問弁護士・エヴァンズは、とてつもない犯罪に 巻き込まれていく…。 マイクル・クラ…

柴田よしき「激流」

2005.10徳間書店\2,100 「わたしを憶えていますか? 冬葉」冬葉…それは、 中学校の修学旅行で、京都に消えた少女。 20年の時を経て、元クラスメートに送られたメールは 本人からなのか?それとも…? 20年前の修学旅行で同じ班だった男女が、突如送られて…

歌野晶午「そして名探偵は生まれた」

2005.10祥伝社\1,785 ミステリー3編を収録。 2000.11祥伝社\4002002.6祥伝社\4002篇は以前祥伝社文庫版で既読だったのだが、 書き下ろしの表題作が読みたくてね…。 「そして名探偵は生まれた」 名探偵・影浦とその助手・武邑は密室殺人事件に挑むが。 うぉ…

東京創元社「あなたが名探偵」

2005.8東京創元社\1,680 ライトに愉しめる犯人当て推理小説集。 推理雑誌「ミステリーズ」に掲載されたものをまとめた1冊。 事前情報無しで読み始めたため、なんだか中途半端なところで 終わるなぁと思ったら解答編がラストについていた(爆) 泡坂妻夫「蚊…

困ったTB

このブログのトラックバックポリシーを一応書いてみると、 私の記事と同じ本を扱った記事からのTBは受け付けるが 関係ないTBは消す。別に私の感想と異なる感想であっても、それは意見と好みの 相違であるのでかまわない。そしてTBとは、ブログ運営者だ…

桐野夏生「アンボス・ムンドス」

2005.10文芸春秋\1,365 1999〜2005年に発表された作品を収録した、 純文学的ムードただよう短編集。 「植林」 負の連鎖がいかに生じるかということ。年齢の割に思考の幼いヒロインが、 平然と残虐なことを行うところに鳥肌。タイトルの意味が深い。 …

恩田陸「ネクロポリス」上・下

2005.10朝日新聞社\1,890\1,890 東京大学の院生・ジュンイチロウ(ジュン)は、血縁者のいる国 V.ファーで行われる「ヒガン」なる風習の調査に赴く。 アナザー・ヒルなる聖地に滞在すると、死者に逢うことが出来るという のだ。半信半疑だったジュンだが、…

村上春樹「東京奇譚集」

2005.9新潮社\1,470 ううん、合わなかった…な。 どこかで起きていそうな物語、ということだが前半の3篇以外は とても起こりそうにない気がするのであった。 以前から村上作品の良さがわからない私(「羊をめぐる冒険」と 「世界の終わりとハードボイルド・…

薬丸岳「天使のナイフ」

2005.8講談社\1,680 妻が、惨殺された。犯人の年齢から罪を問えないことに夫は 苦しんだ…数年後、犯人の一人が殺害される。 愛する娘をかかえつつ、夫は事件を解こうと努力するが。 残虐な少年犯罪を正面から描く…のかと思いきや、 被害者である夫の心中を丹…

蘇部健一「六とん2」 

2005.10講談社\840 伝説のアホらしさを誇るミステリー「六枚のとんかつ」第二弾が出た! グループA、B、Cのうちいわゆる「六とん」らしいのはAでしかない、 そこが残念。とにかくAが良かった。全編Aであれば…。 トリックを挿画で表したりする趣向なの…

中村文則「土の中の子供」

2005.7新潮社\1,260 芥川賞受賞の表題作含む、さすらう孤独な魂をえがく二篇を収録。 「土の中の子供」義理の親から暴力を受け続けた「私」は 恐怖を感じることに憑かれてゆく。 母性を強調した女性キャラ(白湯子)の古めかしさ、 かゆいところに微妙に手が…

備瀬哲弘「精神科ER 緊急救命室」

2005.8マキノ出版\1,575 自殺企図、昏迷状態…精神科に運ばれてくる救急患者との関わりを 通して、人生を見つめてゆくノンフィクション。 治療を要する人からそうではない人まで、症状が病変という 目に見えるカタチでは現れない精神科疾患ゆえに、医師の判断…

森福都「漆黒泉」

2005.9文芸春秋\1,980 高姑娘になるであろう、と予言された商家の娘・芳娥は、 許嫁の遺志を継ぐため刺客となる決意をする。 そこへ仲間たちが加わるが、その思惑は様々で…。 前半はすごくわくわくしていて、芳娥が背の高さを生かして 大活劇になっていくの…

青井夏海「そして今はだれも」

2005.9双葉社\1,785 新任教師・笑子は名門高校に勤務が決まるが、何やらきな臭い 噂に巻き込まれていく。誰が卑劣な教師「X」なのか? サスペンスフルなミステリー。生徒ひとりひとりのキャラが あまり立っていなくて、ヒロイン笑子もなんだか地味なので 全…

村山由佳「楽園のしっぽ」

2005.7文芸春秋\1,300 自然豊かな生活を選んだ著者の、元気いっぱい&動物いっぱいな エッセイ。 村山由佳といえば、直木賞受賞作「星々の船」や 人気ラノベ「おいしいコーヒーの入れ方」シリーズ、そして 十年を越えて読み継がれ、書き継がれる「天使の卵」…

山田悠介「ブレーキ」

2005.7角川書店\1,050 様々な極限状況に陥った人々を、容赦なく書くホラー短編集。「ビンゴ」「サッカー」「ババ抜き」「ゴルフ」「ブレーキ」を収録。 私は以前、この著者の「あそこの席」を読んで、読みやすさは エンターテインメントとして評価出来るもの…

梁石日「カオス」

2005.9幻冬舎\1,680 在日韓国人のテツとガクは、ヤクザではないが歌舞伎町では ちょっと知られた存在。女殺しのガクが恋に溺れ、テツの恋人 (ニューハーフ)タマゴは子供を産みたいと願い、神に祈る…。 この著者の本は(2005年現在)これが初読だったの…

桐野夏生「The COOL!」

2005.9新潮社\1,300 桐野夏生ファンムック。ビブリオグラフィーからグラビアから盛りだくさんで楽しい。 対談企画、 オマージュ(角田光代、津原泰水、古川日出男など粋な作家ぞろい!)、 初公開短編など企画に力が入っていて読み応えあり。 批評家による作…

瀬名秀明「デカルトの密室」

2005.8新潮社\1,995 死亡したと噂されていた、天才科学者フランシーヌ・オハラと 再会した科学者・尾形。尾形の友人であるレナとケンイチは、 奇妙な殺人事件に巻き込まれていく…。 ロボット工学など理系ミステリーで難しいのでは、と心配していたが、 どち…

梶尾真治「精霊探偵」

2005.9新潮社\1,680 背後霊の見える男・新海はお世話になっているカフェのマスター 夫婦から人捜しを頼まれる。 しかし、浮かび上がった真相はおそるべきものだった…。 心霊探偵でいくのかなと思ったらなんじゃそりゃ!というような展開に…。 でも、読みやす…