読書日記PNU屋

読書の記録

2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

佐藤哲也「サラミス」

サラミス2005.1早川書房\1,785ペルシア国王クセルクセスは、夢に神を見てギリシア遠征に乗り出す。 圧倒的なペルシア勢の前に、ギリシア連合はいかに闘うのか!? やや、これは読みはじめがきつかった。 何しろサラミスの海戦?世界史で習ったなー、でもどっ…

東野圭吾「容疑者Xの献身」

容疑者Xの献身2005.8文芸春秋\1,680 天才的な頭脳を持ちながら高校教師に甘んじる 石神は、ひそかに想いを寄せる女性が殺人を 犯してしまったことを知り、全力でかばおう とする。 大学時代に石神の同級生であった「探偵ガリレオ」こと湯川は、 彼の完全犯…

加藤一「「弩」怖い話2 Home Sweet Home」

2005.3竹書房\580 怪談の最高峰「「超」怖い話」シリーズの編著者のおひとりで あられる加藤一・著の「「弩」怖い話」、シリーズ第二弾である。 創作色が前に出ていた前作よりもずっと面白い。怖さグレードアップ、 語りもパワーアップで怪談フリークとして…

平山夢明&加藤一編著「「超」怖い話E」

2005.2竹書房\580 平山夢明・加藤一の強力タッグでおくられるスーパー実話怪談 といえば、これ。今回は「E(イプシロン)」である。 霊や妖怪、神までも語るものすごい1冊である。 怖い話だけでなく、不思議だったりほのぼのする話まで幅広く 収録されてい…

小路幸也「ホームタウン」

2005.8幻冬舎\1,680 ちょっぴり特殊な職業に就く柾人。 久しぶりに妹から来た手紙にはうれしい知らせがあったが、 突如妹の同居人が訪ねて来て…。 おしゃれでじんわりあたたかくて。 「HEARTBEAT」ほどのせつなさは無いかもしれない、子供も出ない (成人し…

田中芳樹「ラインの虜囚」

2005.7講談社\2,100 カナダ先住民とフランス人の混血児・コリンヌは父の死後 フランスへわたり、祖父に会いに行く。 しかし彼女に科せられたのは、双角獣の塔に幽閉されている人物が 誰か探れという難題で…。 素直なコリンヌが、頼れる仲間たちを探し出し、…

ジャクリーン・ウィルソン「ローラ*ローズ」

2005.7理論社\1,449 ジェイニと弟のケニーは、母・ニッキーとともに暴力的な父から 逃げ出す。仮名を使い、見もしらぬ街で第二の人生を始める親子だが…。 どこか少女のような、夢見がちな惚れっぽい母をもってしまった ジェイニ(仮名:ローラローズ)の苦労…

畠中恵「おまけのこ」

2005.8新潮社\1,365 薬種問屋のあととり息子・一太郎は病弱だった。 でも、妖怪たちが助けてくれて… ハートウォーミング・時代ミステリー第四弾。 「こわい」「畳紙」「動く影」「ありんすこく」「おまけのこ」を収録。 …うはっ。優しくて素敵な世界なのだよ…

北森鴻「写楽・考 蓮丈那智フィールド・ファイルⅢ」

2005.8新潮社\1,470 民俗学ミステリーの蓮丈那智シリーズ。 このシリーズは冬狐堂とリンクしているので、 平行して冬狐堂シリーズを読むと良いのでは、と思う。 そうでないと陶子の登場が唐突に感じられるし。 「憑代記」「湖底祀」「棄神祭」「写楽・考」を…

メアリ・ホフマン「ストラヴァガンザ2 星の都」

2005.8小学館\2,520 義兄から陰湿ないじめを受ける少女・ジョージアは、異世界に 時空を超えてストラヴァガントしてしまう。 その街・レモーラでは、星競馬が行われることになっていた。 今回も興奮の三部作・第二弾。 義兄に罵倒されるヒロイン・ジョージア…

山本弘・編

「ヴィンテージSFセレクション胸躍る冒険篇 火星ノンストップ」 2005.7早川書房\1,785 編者が忘れられぬ強烈な印象を持ったクラッシックSF集。 これがハズレ無しで面白い。小学生の頃はジュブナイルSF全集を 読んでいた私だが、ここに集められた話は初…

太田忠司「月読」

2005.1文芸春秋\1,950 人が死ぬと、「月導」なるものを遺す世界。 「月導」には死にゆく者の最期の言葉が秘められており、 それを読めるのは「月読」だけであった。 姪を殺された刑事、母子の葛藤、自殺した若者たち…と月が支配する 世界は死と退廃の色濃い…

鈴木芳樹「スローブログ宣言!」

2005.7技術評論社\1,449 はてなとMovable Type等のブログ経験をふまえ、 日本におけるブログ史や盛り上がったブログ上の事件、 ブログとどのように付き合うかをわかりやすく述べる本。著者が利用したブログ以外のサービスについては、一言ふれるのみなので …

ディヴィッド・アーモンド「火を喰う者たち」

2005.1河出書房新社\1,575 キューバ危機の時代。海辺の田舎町に両親と暮らすロバート(ボビー)は、 ある日市場のかたわらで自らを見世物とするいかれた男・マクナルティーに 出会った。奇跡は果たして…? いきいきとしてリアルな少年・ロバートのピュアな思…

朱川湊人「かたみ歌」

2005.8新潮社\1,470 関東のあのなつかしい街で、ちょっと不思議でせつない出来事は 起こった…。ノスタルジックなムードあふれる連作集。 関西を舞台にしたノスタルジック・ホラー「花まんま」で2005年 直木賞を受賞した作家がおくる受賞後第一作は、 関…

中島たい子「漢方小説」

漢方小説2005.1集英社\1,260胃の不調、動悸…西洋医学ではなんでもないと言われたけど、 心療内科はイヤ!なヒロインは、漢方医学に希望をたくすことに。 いきなり救急車!な出だしのテンポは素晴らしい。 佐々木倫子の名作漫画「おたんこナース」を彷彿とさ…

川上弘美「古道具 中野商店」

2005.4新潮社\1,470 中野さんというちょっぴり変わったおじさんが店主の古道具屋で バイトするヒトミは、バイト仲間のタケオと親しくなるが。モノと恋愛と変わった中高年の物語。 ふんふん、のんびりライトな話なのね〜と思った私が甘かった。 こりゃあ恐ろ…

稲川淳二「最新稲川淳二の怖い話」

2005.9N/A\550 新作怪談ということで期待したのだが…確かにどの話も水準以上ではある、 しかしどれもどこかで読んだような、悪く言えばパターン化された話の範疇に 入ってしまうものばかりだ。読んでいて飽きはしないのだが、まだ見ぬものに 触れるドキドキ…

荒俣宏「妖怪大戦争」

2005.7角川書店\620 両親の別居で母親の故郷に住むことになった小学生・稲生タダシ。 ちょっととぼけたジイちゃんとの暮らし始めたタダシだが、お祭で正義の使者 「麒麟送子」に選ばれてしまう…!一方、人間を憎悪する魔人・加藤は 妖女アギを手下に、ヨモツ…

京極夏彦・他「妖怪大談義」

2005.6角川書店\1,575 妖怪と言えばこの作家、な京極夏彦が、様々な文化人と対談する1冊。 京極夏彦小説を読み解くファンブックでもあり、妖怪を研究する 民俗学・社会学入門でもあり、妖怪ファンとして妖怪映画や妖怪図鑑を 楽しんだりと、妖怪好きまたは…

恩田陸「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」 

2005.4講談社\1,470 飛行機がめちゃめちゃ苦手な著者が、イギリスとアイルランドを旅する ことに。小説家の頭の中身をうかがい知るには好適なエッセイ。 飛行機の苦手具合がすごい。 なにしろ、ヒコウキと言うのも恐ろしいくらいなのだ。 あの離陸のフワッと…

鹿島田真希「六〇〇〇度の愛」

2005.6新潮社\1,470 美しい壊れた兄。兄を偏愛する母と妹。 妹は人妻となり平穏に暮らしていたが、非常ベルの音を契機に 憑かれたように長崎へ旅する…。 2005年現在で、この著者の本を読むのはまだ2冊目…えーと、 ごめんなさい。コレ私嫌いだわ。まあ私…

森絵都「いつかパラソルの下で」

2005.4角川書店\1,470頑固オヤジだった父の死後、ある女性から父に関する信じられない話を 聞き、戸惑う子供たち。父の故郷である佐渡へ、ルーツ探しの旅に出て…。 ああ、これは現代版「和解」(志賀直哉)っぽいね。 もちろんキャラクター設定や展開は違う…

鳥飼否宇「逆説探偵 13人の申し分なき重罪人」

2005.8双葉社\1,890 綾鹿市のヒラ刑事・五龍神田はホームレスのたっさん&じっとくから 推理のヒントを得る日々だった。ところが…。 「昆虫探偵」だとか「痙攣的」だとか、ややイロモノで奇天烈な作品を ものすミステリー作家という印象を持っていたのだが、…

金原ひとみ「AMEBIC」

2005.7集英社\1,260 拒食症、分裂する自己、天才であるとうそぶく「私」は錯文と虚言を 生み出す女…。 金原ひとみはすごい。デヴュー作「蛇にピアス」は、激しい身体改造など 一見かぶいているようでその内容はキャッチーな正統派純愛物語であった。 が、二…

篠田節子「ロズウェルなんか知らない」

2005.7講談社\1,785 名物はよく見える空の星のみ、近い将来人口ゼロになるかも しれない過疎の町、駒木野。三十代でも若者なこの町で、 起死回生の町おこし策が誕生した。それは…UFO? うははは。おもろかった。オカルトフリークから見れば、 ああこの二…

高田侑「うなぎ鬼」

2005.6新潮社\1,785 借金苦から、怪しい使い走りをやらされるようになった男。 うなぎの養殖場がある「黒牟」なる町に、異様な恐怖感を覚えるのだが…。 2004.1幻冬舎\1,680 この著者の前作「裂けた瞳」が私はとても気に入らなかった。 身勝手な男が自分を悲…

さくらももこ「ひとりずもう」

2005.8小学館\1,050 笑いとトホホの詰まったエッセイ集。テーマは青春。 青春ということで、いきなり第一話は「チンチン」と連呼されて いてドギマギするが、さくら流ヰタ・セクスアリスというほどではなく、 あっさり流していくところがさすがと言えようか…

絲山秋子「スモールトーク」

2005.6二玄社\1,260 6つの恋愛&車連作短編と、6つのエッセイ、 そして徳大寺有恒とのクルマ対談を収録。 前々から車と音楽にかけては目利きと見込んでいた作家さんなので、 クルマ本が出たことがとにかくうれしい。 小説仕立ての部分であるが、ヒロインの…

市川拓司「世界中が雨だったら」

2005.6新潮社\1,365 「琥珀の中に」美貌の同級生が急に太り始めた。 そんな彼女が、冴えない自分に告白してきて…。 思春期の甘酸っぱくもたどたどしい恋が行き着く先は…。 なんとすさまじい話だろうか。 「いま、会いにいきます」「そのときは彼によろしく」…