読書日記PNU屋

読書の記録

黒武洋「半魔」

 
オンライン書店ビーケーワン:半魔2005.9徳間書店\1,680


17歳の誕生日に、何かが起こる。高校生の陽子は、同い年の
自殺志願少女・寛美、ちょっぴりつっぱっている金髪の理砂と知り合う。
彼女たちの持つ特殊な能力ゆえに、悲劇が襲いかかる。
 
スティーヴン・キング「ファイアースターター」みたいな
サイキックものかと思ってワクワクして読んだのだけれど、
なんだか途中から心霊事件簿になっていき点ラストに至っては苦笑。
だって終わらないのだもんなあ。壮大なサーガのプロローグとしての
1冊なのか?
 
超常能力や人間以上の何かなどの設定は大好きなので、それが
生かしきれなかった展開が残念。誕生日に悲劇が起こるのだが、
それがヒロインの人数分繰り返されるので飽きてしまったりする。
ぞろぞろ登場人物(一くんとか)が出る割に、尻切れトンボな
退場ぶりであったりとか…。一番違和感を覚えたのは、
少女たちの心情かな。自分の身に起きたことを、ギリギリまで
同じ立場の理砂に話そうとしない陽子、肉親の死を見ても割り切る
あのコなどは、どうも私から見るとしっくり来なくて、
ストーリー展開の都合上彼女たちがそういう態度を取らされて
いるかのような、著者の作為にも思えてしまう。
 
繰り返すが設定は好きなので、西尾維新「零崎双識の人間試験」みたいに
萌えと残酷描写に徹しても良かったのかも。