読書日記PNU屋

読書の記録

マイクル・クライトン「恐怖の存在」上・下

オンライン書店ビーケーワン:恐怖の存在 上 オンライン書店ビーケーワン:恐怖の存在 下2005.9早川書房\1,785×2


島嶼国家・ヴァヌーツが地球温暖化による水位上昇で国土が
そこなわれるとして、アメリカを訴えるという。訴訟費用を援助する
大富豪・モートンの顧問弁護士・エヴァンズは、とてつもない犯罪に
巻き込まれていく…。
 
マイクル・クライトンは(2005年現在)初読なのだが
読みやすさとページ・ターナーぶりにびっくり。いつも著作が上下巻と
分厚いのでなんとなく敬遠していたが、もっと早く読めばよかったと反省。
ツカミからエキサイティングで、キャラはややステレオタイプであるが、
物語のジェット・コースター的展開にはこのくらいのフツーの人物の方が
合っているかもしれない。
 
本書の何が驚いたかって、常識をぐらぐら揺るがせるところ。
もちろんメディアの言うことを鵜呑みにするほど純真ではないつもりだし、
本書をこそ真実だと信じるには私に知識とデータが足りないわけだが、
一般に声高に叫ばれているスローガンが、もしかしてデッチあげかも
しれない…本書が発する衝撃の設定が楽しかった。
 
ネット・ウォー、環境保護の美名のもとに行われるテロ、
過激なアクション、緊急事態の中で揺れる恋心…と盛りだくさんながら、
エンターテインメントとして読者を驚かせ、愉しませることに徹底した
ストーリーに釘付けになってしまった。