読書日記PNU屋

読書の記録

梁石日「カオス」

オンライン書店ビーケーワン:カオス2005.9幻冬舎\1,680


在日韓国人のテツとガクは、ヤクザではないが歌舞伎町では
ちょっと知られた存在。女殺しのガクが恋に溺れ、テツの恋人
(ニューハーフ)タマゴは子供を産みたいと願い、神に祈る…。
 

この著者の本は(2005年現在)これが初読だったのだが、
同じ歌舞伎町が舞台でも馳星周などと比べるとずいぶんのんびり
しているというか、どこか牧歌的にすら思えてしまう。
 
入り込めなかったのは、登場人物に感情移入出来ないせいか。
ガクの自分の見失いぶりにもついていけないし、
テツのだらしなさには眉をひそめるし、
タマゴの狂信ぶりにはドン引きだし…というわけなのだ
(あくまで私の場合)。
 
そして本書、男性のための物語である(タマゴも男だし)。
ガクの愛した彼女も、テツの愛人の彼女も読者の私から見てどこに
魅力があるのかよくわからないし(容姿か?)ラストには
ただ脱力するのみ。
男性の幸せのために、踏みつけにされ忘れられていく女性とは
いったい…そんなことを少し思った。