読書日記PNU屋

読書の記録

桐野夏生「冒険の国」

 
オンライン書店ビーケーワン:冒険の国2005.10新潮社\380


夢の国、某ランドの近所に一家(父母、未婚の姉)と住む三十路の美浜。
11年前、彼女はボーイフレンドを自殺で失っていた…。
 
桐野夏生、幻の作品を文庫化&刊行!ということで読んでみたら、
ミステリーともサスペンスとも言い難く、まるで純文学のごときムード
であった。
なるほど、著者「あとがき」によれば「すばる文学賞」の応募作なのだ
という。道理で貞操観念の希薄なヒロイン、あるようでないオチ、と
いわゆる純文学っぽいわけだ。
 
どこか影の薄いヒロインに比べ、宇野さん、吉田さんなどしたたかな
女性像はのちのミステリー作品を想像させる造形。