読書日記PNU屋

読書の記録

牧野修「記憶の食卓」

 
オンライン書店ビーケーワン:記憶の食卓2005.9角川書店\1,680


名簿売買の会社で働く折原は、なぜかチャーハンの嫌いな青年。
とある名簿の中に自分の名前と写真が載っていることに気付いた
折原は、連続猟奇殺人事件に巻き込まれていく…。
 
いやぁ、すごい作家もいたものだ。
もう面白くて面白くて、新刊は買わずにいられない。
「スイート・リトル・ベイビー」とか「アロマ・パラノイド」とか
「リアルヘヴンへようこそ」のころは、文章はすごく読みやすいけど、
ストーリーがありきたりなホラーだよねぇなんて思っていたら、
いつの間にかストーリーも予測のつかぬドキドキものになっていて、
新作を心待ちにしてしまうのである。
 
さて本作、臆病者の愛すべき折原の章と、醒めた少年・遠藤の章が
交互に進行していくのだが、その融合ぶりがなんともお見事、
いやぁあの人が怪しいのは見越していたんだが、この鮮烈なラストには
やられましたね。アンハッピーとハッピーは隣り合わせなんだね。
存分に酔わされた。気の持ちようによって人はいくらでも幸せになれるし、
死よりひどいと思える出来事もある…そんなことを考えさせられる
超・エンターテインメントであった。