読書日記PNU屋

読書の記録

大石圭「1303号室」

オンライン書店ビーケーワン:1303号室2005.8河出書房新社\1,303
 

マンションで繰り返される投身自殺。それは本当に自殺なのか…? 

著者最恐小説ということで期待したのだけど、一番怖かったのは
表紙の写真かなぁ。
 
13階の眺望最高なマンションで、入居後女性が次々死んでゆくのだが、
なぜこのマンションにこだわるのかの説得力がない。眺めが良くたって、
腐敗臭や人影が揺らめくようなマンション、私だったら即出るがなぁ。
敷金礼金?そんなの、不良物件なのだから交渉次第で…。
 
いろいろホラーであらんがために変なところがあって、怖い目にあう
ヒロインたちがなぜ素直にマンションに帰るのか。それこそ街には
いくらだって泊まるところがある、金がなければファミレスや漫画喫茶
だってある、なのになぜ怖い怖いと言いながらマンションに帰るのか、
映画「13日の金曜日」で殺人鬼に追われながら、どんどん人里ではなく
山奥へ逃げていくがごとき都合の良さを感じた。
 
内容はどこかハンパな印象で、ユキちゃんの怨念もあまり響いて来ないし、
実際に起きる現象は著者の手による映画ノヴェライズの「呪怨」の
焼き直しといった感じでいまいち。
 
しかし「復讐執行人」でもそうだったんだが、忘れ去られた人の怨念が
著者のテーマなのかしら。それにしては、超能力の設定が生かされて
いないような。
 
私的には笑えるポイントが幾つかあったので(パンツ霊?など…)、
この評価に。ありがちなホラーではあったけれどもツッコミどころを
まあ楽しませていただきました。