読書日記PNU屋

読書の記録

永井するみ「ビネツ −美熱−」

オンライン書店ビーケーワン:ビネツ2005.6小学館\1,890


エステティシャンの麻美は、マッサージの上手さで幸運を手に
入れた。しかし彼女の周りにはキナくさいことが起こり始め…。
 
エステティック・サスペンス。
本の雑誌」等で“いつか傑作を書く!”と注目されている
作家・永井するみ。前半はぐいぐいと引きこまれ、これか?
これがまさに傑作なのか?!と思ったのだが…よくあるサスペンス
ドラマ調のオチが残念だ。
 
前半はとにかく面白く、なにしろ「神の手(ゴッド・ハンド)」を
持つマッサージ師が成り上がっていく上に、やっかんだ同僚からの
古典的なイジメ(一昔前の少女漫画の、トゥシューズにピンが…!
みたいなレベルだが)といい、ベタだけにベタならではの面白さが
あるのだ。エステをめぐる経営者・エステティシャン・客たちの
人間模様もなかなかいい。
 
サリの変死が物語に適度なテンションを与え、単なる
サクセス・ストーリーに終わらぬサスペンスフルな展開となっている。
残念なのは、盛り込みすぎか、やや急ぎ足なラスト。
エステとエステ経営者の夫がかかわる健康食品と、その謎めいた息子と…。
キャラクターは魅力的ではあるのだが、駆け足でざっと説明し、
まとめに入る後半は味わいを欠いた。

もっとこのメンツならばすごいことが…と勝手に盛り上がっていた
私は拍子抜けしてしまった。