読書日記PNU屋

読書の記録

大石圭「死人を恋う」

 
オンライン書店ビーケーワン:死人を恋う2005.9光文社\580


自殺しようと、久しぶりに外へ出たひきこもり青年は、偶然に
集団自殺決行の場に出くわしてしまう。そこで美しい女子高生の
遺体を見つけた彼は、不埒な行為におよび…。
 
気持ちいいくらいグロテスクな、ド変態小説。
ネクロフィリア趣味全開なんで、キモい設定に弱い人は避けた方が
無難かもしれない。

主人公の青年が、ヤマネコヤマネコとかああっとか繰り返して
腹だたしいことこの上ないのであるが、それもまあホラーであれば
アリなのだろう。
 
だが。
自殺サイトで獲物を物色…というと、2005年に発覚して騒ぎとなった、
あの実在する某快楽殺人事件を濃厚に想起してしまうのね。
あの事件の衝撃ときたらすごいものがあったわけで。
本作は細かい設定こそ異なるものの、現実への創作上の模倣・追随にしか
思えないのが難点。そして女性たちはひたすら勝手に消費され辱められ、
男性どもはのうのうと暮らすところがものすごくストレスフル。
オチもなんだか、私には釈然とせず…。
 
前半の静かなる変態描写は、もしかしたらすごいホラーなのかも…
と思ったのだが、リピート&予想圏内の展開でがっかり。
エロスだの気味悪さだのを期待して読むならば満足かもしれないが、
私はこの作品はとうてい受け入れられなかった。