読書日記PNU屋

読書の記録

奥田英朗「ララピポ」

オンライン書店ビーケーワン:ララピポ2005.9幻冬舎\1,575


女はほしいがひきこもりの男、デパガのはずが流されてオミズ、
現実から逃避したくてAVに出る主婦…etc,
どこかにいそうな男女の情けなくも物悲しい人生模様小説。
 
これはなんだか、伊良部の出ない伊良部シリーズのような。
初期の「最悪」「邪魔」のダーク・ムードにひとはけ
ユーモアセンスをまぶしたような印象。
 
どいつもこいつも困った人間なので同情は出来ないのだが、
人間が生きる上で避けて通れない性をテーマに、テンポよく
読みやすく、目をおおわんばかりの狂態が書かれていく。
 
でもなぁ…笑っちゃうほどヒサンな激安人生っていうモチーフは
戸梶圭太の十八番であって、本作はトカジ小説ほどの燃えたぎる
熱情を感じられない気がする。いわば大人しいトカジか。
ラストまではっちゃけずに整合性を保つところは良いが。
 
タイトル「ララピポ」の意味がわかって脱力したが、簡単に見えて
深い意味があるのかしらん。

p.s.表紙画がエロくて買いにくかったですっ!!
カバーを取るともってエロくてびっくりだが。
時代物と勘違いされそうでもあるな…。