読書日記PNU屋

読書の記録

デイヴィッド・イーリイ「大尉のいのしし狩り」

オンライン書店ビーケーワン:大尉のいのしし狩り2005.6晶文社\2,520

ブラックでドライでビターな味わいの15篇を収録する短編集。

オンライン書店ビーケーワン:ヨットクラブ2003.10晶文社\2,730
「ヨット・クラブ」のような奇想天外な発想を期待して読んでみた。
今回は身の回りの恐怖を扱うことが多く、「ヨット・クラブ」で
受けたような衝撃こそは無かったが、じわじわと忍び寄る狂気や
目に見えぬ怪異はなかなか濃厚な味わい。
 
因果応報ものはあまり私の好みではない。
なぜなら、因果応報ものからカタルシスを得るためには、
酷い目に遭うことが高率で予想される主役の人物に感情移入しては
ならないからだ。このテの物語で感情移入してしまった日には、
ストレスフルな気分を味わうこと請け合いである。
 
私には、きつい皮肉ものよりも「スターリングの仲間たち」の不条理、
「グルメ・ハント」のユーモア、
「いつもお家に」の孤独から生み出されるものがたまらなく面白かった。
 
とはいえ、「最後の生き残り」のような皮肉ならば大歓迎である。
 
「歩を数える」の苦悩もたいへん興味深く楽しめた。
万が一にも、自分の身には起こってほしくないことだが…。