読書日記PNU屋

読書の記録

東川篤哉「館島」

オンライン書店ビーケーワン:館島2005.5東京創元社\1,785


天才建築家・十文字が自ら設計した別荘で変死する。
刑事・隆行と探偵・沙樹がこの不可能犯罪謎を解こうとする中、
嵐の別荘で再び殺人が…。
 
どこかクラシックな印象の本書。よく言えばのどかで、
悪く言えば間延びして感じられる…。キャラ立ちユーモアミステリか
というとさほどでもないし。奈々江の天然ボケなど、ありえんし。
独特の間を外すようなギャグは、これまた好き嫌いが分かれそうでは、
ある(私はああこれサムい〜と思ってしまってダメな方だったが…)。
 
それでも、なぜ舞台が過去に設定されていたのかがわかるラストは圧巻。
この大胆な発想こそは、まさにミステリー!殺人事件の謎については
たぶんこういうことじゃないのかなぁと予想した通りになってしまうし、
探偵&刑事による謎の解明もあっけないのだが、このオチが素晴らしいので、
そこまでのユルさを赦せる気持ちになった。

p.s.本作は独特のユーモア(刑事がさかりづいたりなど…)が
好きになれなかったのだが、鮎川哲也・編の「本格推理」で読んだ
作品は好きなので、これからもこの著者の作品を読んでみたい。