読書日記PNU屋

読書の記録

戸梶圭太「東京ライオット」

オンライン書店ビーケーワン:東京ライオット2005.7徳間書店\1,785


近未来、激安住民が集いスラムと化したA市。
そこに建てられた高級マンション・ソナーレは要塞のような
別世界を醸し出し、地元住民の神経を逆なでしていた。そしてついに…。
 
トカジ節により、激安人間の激安ぶりを書き尽くす作品。
一人ひとりにスポットを当てると、すぐに別の人物に移っていく様子は
「自殺自由法」のようでもあるが、本作はあちらほどの衝撃は見込めないのだ。

今までコロコロと死なせてきた激安人間たちに、本作では愛情と同情の
眼差しさえ感じてしまうのは、気のせい??妙にこぢんまりとしたラストで、
今までのはっちゃけたトカジ作品(「さくらインテリーズ」etc.)が
恋しくなってしまう私。
 
暴力・残酷描写は相変わらずパワフルであるが、枝葉はともかく
物語の根本となるべきところに私はあまり魅力を感じることが出来なかった。
トカジファン・マニア以外の方にはおすすめしにくい1冊。