読書日記PNU屋

読書の記録

桐野夏生「白蛇教異端審問」

オンライン書店ビーケーワン:白蛇教異端審問2005.1文芸春秋\1,450


著者初のエッセイ。直木賞受賞前後の日記や書評・映画評、
ショートストーリー、匿名批評等への反論などなど含む盛りだくさんの1冊だ。
 
作家さんには3つのタイプがあると私は思っている。
 
ひとつはエッセイも小説もいかしてるタイプ。たとえば椎名誠など。

二つ目は、エッセイは面白いが小説はつまらないタイプ。
これは公表するのはやや問題があるので作家名は記さない。
 
そして最後は、小説は抜群に面白いがエッセイとなると小説ほどの
輝きが見られないタイプで、篠田節子桐野夏生などが当てはまるのでは
ないかと勝手に思っている。篠田節子「寄り道ビアホール」を読んだ時と
似た感想を本書に強く持った。

それは、どうしてそんなにキマジメなの?それでは生きにくいでしょう、
ということ。お会いしたこともない作家さんの生きやすさを心配するなんて
余計なお世話かもしれないが、言うことは正論、だらだら怠けたところが
ほとんどなく、いつも正しくきりり、ではさぞかし疲れるだろうなぁと
思ったのである。別に真面目がいけないというつもりはない。
ユーモアがあった方が楽しいのは否定しないが。

本書からはいい加減で間違ったものに対する抑えた怒りがぐつぐつと
伝わってきて、私のような軟弱な読者は少々読み疲れてしまう。
あまりにキマジメ真剣勝負であると、読む方も姿勢を正さねばいけない
というか、息苦しいような感覚を覚えたのであった。
 
作家の育ってきた家庭のことや、「OUT」「玉蘭」「柔らかな頬」の
創作に関する記述もあるのでファンならば背景を知るという収穫があるの
ではないか。