読書日記PNU屋

読書の記録

化野燐「渾沌王人工憑霊蠱猫」

オンライン書店ビーケーワン:渾沌王2005.7講談社\998


龍造寺から見た一連の事件の顛末。
 
第一部完結である。まだまだ大いなる物語の序章らしい。
 
今回は語り手が龍造寺というお調子者の術者であることもあって、
3冊の中では一番読みやすく楽しげなムードであったと思う。
今までの中では語り手・龍造寺がいちばんマッチしているのじゃないかな。
私の勝手な印象だけど。
 
そして…本作単体で読むならば満足かもしれないが、やはり展開が
遅すぎると感じる。いくら視点が変わるとはいっても、また最初から
おさらいなのだもの!
刊行時にリアルタイムで読んでいる人ならばおさらいになって良いかも
しれないが、3冊まとめて読む人間はきっと退屈するよ。
新たな展開から読ませてほしかったし、龍造寺視点で最初から書いて
しまえばよいのにと思う。
 
妖怪とのバトルなど、おいしいところをさらっと流してしまうのもううむという感じ。
 
今回、茶目っ気たっぷりのサプライズや、混沌なるものへの対処など面白い
ところも多々あるだけに、展開の致命的な遅さが残念だ。