読書日記PNU屋

読書の記録

鈴木光司「アイズ」

オンライン書店ビーケーワン:アイズ2005.5新潮社\1,470


実話怪談を元に作成された恐怖小説短編集。
背筋くすぐる話から、ちょっといい話まで。
「鍵穴」「クライ・アイズ」「夜光虫」「しるし」「檜」「杭打ち」
「タクシー」「櫓」「見えない糸-あとがきにかえて」を収録。
 
これがね…「新耳袋」や「「超」怖い話」と比べると全然怖くはない。
仄暗い水の底から」でもそれは思ったことなのだが。
オンライン書店ビーケーワン:仄暗い水の底から1997.9角川書店\560

怖い至上主義の人が本作をを読むと、なんだぁ怖くないじゃん、
と不満を覚えるのではないだろうか。これは怪談本が出れば
むさぼるように読む、怪談ジャンキーな私だから麻痺しちゃってて
怖くないのかもしれない。

怪談をあまり読んだことのない人であれば、怖いのかな???
 
かといって、感動作や幻想文学として見れば夢枕獏などのベテラン、
そして台頭してきたホラー界の勇たち…福澤徹三だとか朱川湊人には
かなわないような気がする。
 
本作の中では、不気味な謎が一転して心揺さぶる「しるし」は
好みであった。

「櫓」はTVでも盛んに取り上げられたあの団地がモデルだが、
文学的解釈になっていて興味深い。私は同ネタを扱った永久保貴一
名作実話恐怖漫画「F/E/A/R」(2)の解釈の方が納得できるけれど。
 
鈴木光司ファンであれば一読してもよいのでは。