山口雅也「チャット隠れ鬼」
独身男性教諭・祭戸浩実は校長の命でネットの悪から
子供を護るサイバー・エンジェルの仕事を任される。
試しにやってみたチャットにはまる浩実だが、仲良くなった
主婦「Jezebel-P」こと「いぜべる」に或る疑いを持ち…。
浩実は事件を防げるのか?!
横書き、ネット部分はアミかけという工夫のされたサスペンス
フル・ミステリー。いや、ミステリアスなサスペンスと呼ぶべきか。
冴えない教師がネットの魔力にとらわれていく様子がリアル。
チャット部分は創作とは思えぬほどの異様なムードを醸し出している。
チャット経験のない私でも、読んでいくうちに浩実に感情移入して
のめり込んでしまうほどだった。
犯人像や展開については或る程度予測がついてしまうのだが、
その予測を上回るだけの満足度、すなわち緊迫感と適度に効かせた
ユーモアのおかげで楽しく読むことが出来た。