読書日記PNU屋

読書の記録

片理誠「終末の海 Mysterious Ark」

オンライン書店ビーケーワン:終末の海2005.3徳間書店\1,995


核戦争後。ボロ船に住む圭太たちのそばを、「箱船」と
呼ばれる豪華客船がたまに通り過ぎる。
大人たちは出掛けたけれど帰らなかった。
圭太ら子どもたちも今、食糧危機から謎の豪華客船に乗り込むことに…。
 
アフターウォーのホラー・サスペンスだが、まるでハリウッド映画の
ような展開。ハリウッド映画のような…というのは、そこそこに
楽しめるけれどお約束な展開がやや興ざめであるという意味で。
意外なことがあまりないのだな。
 
第五回日本SF新人賞受賞作。脇役なんかは上手いのに、
主人公の心情描写がちとちぐはぐじゃないかー。
なんでいきなりあの場面で舌を噛んで死のうと思うのか、理解できない。
おまえには大事な弟と、妹的存在がいるのに何故、感傷的になるのだろうか。
それほどロマンチストだったらあの状況で真っ先に死にそうだが。
圭太が忌み嫌うヤツにしても、私にはそんなひどいとは思えないのだ。
暴力は良くないが、圭太も気にしすぎ〜。 
あまりにお約束だからこその、お約束的カタルシスは、ある。

p.s.一人ひとり消えていく…という過程をもっとムードたっぷりに
演出したらすごく怖い話になるのでは。