読書日記PNU屋

読書の記録

加藤一「妖弄記」

オンライン書店ビーケーワン:妖弄記2005.5マイクロマガジン社\550


一人暮らしのはずなのに、部屋から謎の声が…など、
さまざまな妖怪遭遇体験記。
 
心霊譚収集で名高い著者が、新たに編んだのは妖怪本!
確かに、血みどろの幽霊よりも恐怖度では劣るかもしれない。 
しかし、妖怪譚には、元々が人間であった幽霊のエピソードにはない、
人知の届かぬものへの畏怖が感じられる。

こんな妖怪遭ってみたいと思うほどにユーモラスだったり、
これは勘弁と思うほどにぞっとさせてくれる話まで、盛りだくさんである。
 
どれもオチはない。ただ不思議なことが怒り、体験者が理屈で考えたり、
古老に尋ねたりして納得していくのであるが、読者によっては
このオチのなさが不満に思えるかもしれない。

オンライン書店ビーケーワン:禍禍2004.10二見書房\550
これはプチ怪談の詰め合わせ「禍禍」でも感じたことだが、
敢えてオチを無理に付けないことで、不気味な臨場感と
不思議な余韻を増しているように思う。