読書日記PNU屋

読書の記録

三島浩司「MURAMURA 満月の人獣交渉史」

オンライン書店ビーケーワン:MURAMURA2005.3徳間書店\1,995


可憐な女子高生・伊佐チエの住む街では、小学校消失などの
怪奇事件が起こっていた。それは魔獣の仕業であり、彼女は
火縄銃や村田銃を持ち、叢雲なる破魔の獣を従えて、魔獣と闘う
さだめにあるというのだが?!
 
前作「ルナ」を読んで、なんじゃこりゃ〜!!と憤慨した私であったが、
著者あとがきでもし気に入らなかったら次の作品も読んでみてね、
みたいなことが書かれていたので手に取った次第。
 
萌え系伝奇アクションといえばまず思い浮かぶのは
奈須きのこ空の境界」だが、
あれと比べるとこちらはコミカルかつライト。
祖父が築いた礎をもとに、いたいけな女子高生が、
一癖も二癖もあるロデムとロプロス(違)を従えて戦うのだから、
けなげではないか。
空と野良のふたりのムラクモが、それぞれキャラが立っていていい。
イヌとタカと男子高校生を従えて戦うチエは、現代の桃太郎なのかも
しれない。キトネ&アタエなど敵も魅力的。
 
ただ欠点もある。「夢羅」の概念がややわかりにくいこと。
それは「魔獣」と「化身」の設定も同じ。ラノベだから、
なんとなくわかればよいのか。ここんとこ詰めていれば、
重厚な伝奇ものになったであろうと思うと惜しい。
それと肝心のチエのキャラが今ひとつ大人し目というか、
つかみにくいこと。不思議ちゃんなのか?とりあえず
ウソが嫌い&マジメというのはわかるのだが、恋心とか葛藤
とかは伝わってこない。それもラノベなら、いいのだろうか?

クライマックスの決戦がやや急ぎ足で残念なのだが、
チエと仲間たちの掛け合いを楽しめる作品だった。