読書日記PNU屋

読書の記録

加納朋子「てるてるあした」

オンライン書店ビーケーワン:てるてるあした2005.5幻冬舎\1,785


佐々良の町で、再び幽霊あらわる?!
親の借金のために久代のもとへ預けられた照代は、せっかく
受かった高校にも行けず不満たらたらの日々を過ごしていた。
そんな彼女の前に、少女の霊が…!

 
オンライン書店ビーケーワン:ささらさや2004.4幻冬舎\600
「ささらさや」の姉妹編という本書、時系列的には続編にあたる。
前作のヒロイン・サヤは脇役にまわっているが、三婆にエリカ&ダイヤに
サヤ&ユウスケと、前作でおなじみの人々が登場して懐かしい。
広義のミステリーにはなるのかもしれないけれど、推理小説風味は
ほとんどない。夏の読書感想課題図書にも似た、真面目な趣の本である。
 
最近の坂木司「切れない糸」でも主人公がそうだったのだが、
進路で失敗した主人公がいじけてうじうじしているので、
とっつきは良くない。小さな心が世界への憎しみであふれているのね。
それを甘えととるかどうかでこの作品への好みが分かれてきそう。
それでも、読み終える頃にはこの甘ったれのヒロインに共感し、
好きになっちゃっているのだから驚き。加納マジック!
 
私としては、気に入らぬ点は多々あれども…成長ものというのは
最初主人公がダメダメなものだし…
途中で真相など想像もついてしまうけれど…
意地っ張りの久代とひねくれものの照代の友情がもどかしくもせつなくて、
そこにほだされたのでこの評価に。

p.s.喫茶店のマスターは、どうしたんだサヤ!?