読書日記PNU屋

読書の記録

飛鳥部勝則「誰のための綾織」

オンライン書店ビーケーワン:誰のための綾織2005.5原書房\2,100

女子高生「モネ」が描くミステリー小説「蛭女」。
そこに記された殺人は事実に基づくといい、飛鳥部と編集者は
ミステリーの可能性を論じるが。
 
そこまでやるか?うーわー騙されたッ、というのはネタバレに
なるだろうか?読み終えた時の崩壊感、これぞミステリ“ー”。
タイトルからしてああもうそれはそういうことだったのネ、と
ミステリマインドくすぐる作品。

なんじゃこのバカミスは!と思う人と、
ああまだこのテがあったのか、天晴れ!と思う人に分かれそう。
私は後者だが。
 
女性には生理的にキツいと思われる描写も出て来てそこが
好きではないのだが(アンチ・ミステリ派に、レズ心の描写が
なってないとか、これだからミステリーは人間を書いてないとか
言われそう)、それすらも耽美かつ退廃的なムードを醸し出し、
仕掛けに寄与しているのかもしれない。
ここまでエログロにする必要があるのかというと疑問だし、
実際にあった地震をネタとするのもいかがなものか、とは思うけれど。
 
全ては騙しのために。世界は反転し、崩壊する。

p.s.今回も「殉教カテリナ車輪」のように著者自身の手に
よる挿画が付いているが、図像学はちょっぴりしか出てこなくて
残念。この著者による、ダン・ブラウンダ・ヴィンチ・コード
をしのぐイコノロジーミステリーが読みたい私であった。


上記は、読了直後の感想。
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