読書日記PNU屋

読書の記録

鳥飼否宇「痙攣的 モンド氏の逆説」

オンライン書店ビーケーワン:痙攣的2005.4光文社\1,890


芸術評論家・寒蝉主水の行くところ、謎と殺人が…。
モンドとは、そしてアイダ・アキラとは何者なのか。
全ての謎が明かされた時、あなたはのけぞる!!
 
これはこれは、ものすごいミステリが出てしまったものだ!
理系(とくに生物学)ミステリはこの著者の持ち味で、
本作もそれが存分にイカされ、いや生かされている。

オンライン書店ビーケーワン:太陽と戦慄2004.10東京創元社\1,680 
前作「太陽と戦慄」を思わせる、革命音楽バンドの謎から始まり、
うんちくたっぷりにおくられる怪しい芸術祭での謎、
覆面マジシャンの謎などいかにもなミステリーしてる途中までは
ものすごく好みだった。

だが、あまりなラストのサプライズに驚愕、呆然、放心して
しまったのだった。ゆえに読後の満足感は、やや低めかもしれない。
それでもネーミングの妙には関心しきりであるが。
夢野久作ドグラ・マグラ」ばりのめまいに襲われたというと
言い過ぎかしら。なんじゃこのバカミスは!と本を投げ捨てたくなる
読者もいるかもしれないが、1冊の中でこれほどめまぐるしく世界が
切り替わることに驚嘆させられる。とにかく珍作であることは間違いなく、
ミステリーの新たな地平を切り拓く作家として、
これからの著者の活躍に大いに期待したい。

p.s.後半の一部、西澤保彦「××××の殺人」とか、
岡嶋二人「×ラ×ンの×」みたいだなぁとも思ったりする。