読書日記PNU屋

読書の記録

古川日出男「ロックンロール七部作」

オンライン書店ビーケーワン:ロックンロール七部作2005.11集英社\1,680
 

ロック!ロック!ロック!そして忘れずにロール!…な物語、
時代も主役もうつりつつ飽きさせない七部作。
 
ロックは世界をかけめぐる!そのスピードに酔いしれる作品。
ただし、やや殺人多め。聖書やら神話やらのモチーフもアレンジされて、
これはもうもう読むロック以外の何モノでもないのだね。
めまぐるしく舞台が変化しつつも、底流は関連性を保つという展開は
いしいしんじ「ポーの話」みたいでもあるので、壮大なる現代の神話を
読みたい人にはおすすめだ。
 
フルカワヒデオの文体に痺れちゃってるファン向けではあるが、
「ベルカ、吠えないのか?」の衣鉢を継ぎつつあっちより面白かったよ。
あふれるエンタメ性もさることながら、やはり人間が主役の方が、
登場人物の人生における自由度が高いみたいだよ。

ジジイが良い味出してる暗黒の伝説2部、
バンドが苦しくも楽しげでなおかつ美味しそうな3部、
武は舞に通ずの6部が好きだ。7部は嫌いだ。

p.s.「サウンドトラック」で音楽を殺し、「ボディ・アンド・ソウル
で無音を追求したところ、本書でロックを主役にすえるとは
何やら意味深げだ。