読書日記PNU屋

読書の記録

町田康「東京飄然 作家のとらえた幻想的な東京」

オンライン書店ビーケーワン:東京飄然2005.10中央公論新社\1,890

 
ふと思い立って、ふらりと行き先も決めず旅に出る。
そんなフリーダムなトリップを詩的に表現する泣き笑いエッセイ。
エッセイとは紹介したものの、これはジャンル分けをするのが
困難な本である。東京近郊日帰り旅行記でもあるし、
現実をおもしろかなしく再構成してみせる手腕は私小説っぽくもあるし、
どうにもならぬままならぬ現実を赤裸々に描いたノンフィクションと
言えなくもない、のだ。
まあそんなことはどうでもよくて、著者の弾む文体のファンならば
必読の1冊だろう。私は不運によく行き会ったり、何かと理由もなく
(…気弱そうに見えるから?)他者から軽んじられたりするところが
身につまされすぎてつらいほどであった