読書日記PNU屋

読書の記録

ジャクリーン・ウィルソン「ローラ*ローズ」

オンライン書店ビーケーワン:ローラ*ローズ2005.7理論社\1,449


ジェイニと弟のケニーは、母・ニッキーとともに暴力的な父から
逃げ出す。仮名を使い、見もしらぬ街で第二の人生を始める親子だが…。
 
どこか少女のような、夢見がちな惚れっぽい母をもってしまった
ジェイニ(仮名:ローラローズ)の苦労と来たら!
子は親を選べないからなぁ…。しかも、まだ幼い弟は父に憧れていて、
物事がわかっていない始末。やんちゃなのに神経質な弟と、
うっかりものの母の面倒を見なければならないジェイニが可笑しくも
哀れなのだった。
 
ストレスフルな物語だが、けなげなジェイニにたっぷり感情移入して
しまう。よい子って、こんな風に責任を一人で抱え込んでしまうもの
なんだよね。
 
ジェイニの電話からは、いい話なのだが児童モノならではの甘さが
目についてしまい、そこが残念。お子様に与える分には、
ちょうど良い甘さだと思うが…酸いも甘いもかみわけてきた、
よごれっちまった大人には少しだけ物足りないのよねぇ。
 
私には“おまじない”が唐突かつスーパーナチュラルに思えてしまったの
だが、たぶん家族への愛が恐怖に打ち勝つことの象徴なのだろう。

p.s.スティーブとアンディにはもうちょっと登場してほしかったかも。