荒俣宏「妖怪大戦争」
2005.7角川書店\620
両親の別居で母親の故郷に住むことになった小学生・稲生タダシ。
ちょっととぼけたジイちゃんとの暮らし始めたタダシだが、お祭で正義の使者
「麒麟送子」に選ばれてしまう…!一方、人間を憎悪する魔人・加藤は
妖女アギを手下に、ヨモツモノ工場を作り悪巧みをしていた…。
2005年夏に公開された映画版を先に観て、期待以上に面白かったので
原作である本書を読んでみた。けっこう映画は原作に忠実だったのね。
もちろんギャグのいくつかはアドリブみたいだし、クライマックスに
違いはあるのだけれど。私は映画版の脱力感の方が、原作の美と悲壮感より
も好きだなぁ。でも原作を読んでなぜ加藤がヨモツモノ工場を造ったのか
であるとか、ヒトガタとカッパの関係であるとか、映画観てこれはいい!
と思ったクチコミ場面や、水木しげるテイストを生かしたラストは原作の
ものだったことを知ることが出来ただけでも収穫。
p.s.アギはもと人間だったようだが、なぜにあんなに強いのだ…?不思議。