読書日記PNU屋

読書の記録

篠田節子「ロズウェルなんか知らない」

 
オンライン書店ビーケーワン:ロズウェルなんか知らない2005.7講談社\1,785


名物はよく見える空の星のみ、近い将来人口ゼロになるかも
しれない過疎の町、駒木野。三十代でも若者なこの町で、
起死回生の町おこし策が誕生した。それは…UFO?
 
うははは。おもろかった。オカルトフリークから見れば、
ああこの二階への階段が無いアレって「新耳袋」に出てきた
あの山の基地でしょ?などと、元ネタが透けて見えてしまう
ところがやや難ではあるが、次から次へと悪ノリしていく住人たち、
町おこしと言いつつ、よどんでたまった町の住人の感情を解放してゆく
これは祭だ。祭の狂奔が読む者を酔わせる。
 
案外小さくまとまったような印象のオチではあるが、
田舎町だからこその“何にもない町なんだから、失うものは何も無い”
不屈の闘志のようなものがみなぎっていてカタルシスを感じた。

p.s.この、オカルト(…と言っても、子供騙しのレヴェルだが…)
で人を呼ぼうというネタは東直己「義八郎商店街」でもあったねぇ。
これぞシンクロニシティ