冬休みだからアニメを見よう
その1.「怪物王女」vol.1
怪物王女 vol. 1 通常版 [DVD] 川澄綾子.皆口裕子.河原木志穂.能登麻美子.甲斐田裕子.大浦冬華, 監督:迫井政行.原作:光永康則 ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2007-10-11 asin:B000TCEW30 Amazonで詳しく見る |
ツレとなんとなく借りてきたDVDである。
オープニングはごくふつう。ここですでに止め絵が多く、あまり動かない印象。せっかくのアニメなんだから、オープニングは「怪物くん」のオマージュっていうかパロディにすればいいのに、と私が言ったところ、オタクな相方によると怪物くんっぽいオープニングはもう「らき☆すた」でやっているんだとか。じゃあしょうがないな。
第一話はテンポがまずく、グダグダしていた。なにしろ、主人公・ヒロが病院を抜け出すシーンのところで私のウチに宅配便が来て、ツレが宅配を受け取って戻って来たらまだ主人公がさ迷っていたので、「まだ話が進んでねえええ!!!」とツレが叫んだくらいである。
そして背景の手抜きが著しい。なぜ、絵本みたいな背景なのだろう。何かの効果を狙っているのかなあ。わかんねえ。
一話に対する、原作ファンの不満〜。【血を分け与える】シーンが、子供に真似されてはいけないという配慮からか、姫がヒロに命の炎という魔法をかけることになっているのな。でも、不死鳥の血で不死身って古典ですやんか。お約束ですやんか。グレート・手塚の御世から決まってますやんか。こんな風に魔法少女に貶めなくても…っ!と思うわ。
ヒロの死因からして違うしな。なんでフランドルの過失じゃダメなんだろう。
佐和々活躍しすぎ。巨乳ゆらしすぎ。第一話で動くシーンは姫のひるがえるフリルスカートと佐和々の胸だけだったわ。
一番動いてるのがエンディングってどうなのよ?
ツレが言うには、一話目はふつう力を入れるものだが…ってね。
でもまあ、ツレも言うように声優陣はイメージに合っていたし、うまかったと思う。
私的には、姫の口癖「ふふん」は、「ふふん↓」だとイメージしてたんだけど、アニメでは「ふふん↑」なのな。なんかイメージ違ったわ。
あまりのグダぶり、そして人狼描写の愛の無さ、戦闘シーンのしょぼさに、もう見なくてもよいのではないかとの意見も出たが、私の見なきゃもったいない病ゆえラストまで見る。
はからずも、次がアタリだった。 二話目は一話よりテンポも作画もいい感じ。とりあえず、リザと令裡が出るまでは見てみようかと、二話目を見て、思えた。
加藤恭子編著「ノンフィクションの書き方 上智大学コミュニティ・カレッジの講義と実習」
ノンフィクションの書き方 加藤 恭子 はまの出版 1998-04 asin:4893612565 Amazonで詳しく見る |
エッセイ中心の大学の文章講座記録。
ノンフィクションルポを描きたくて参考になるかと思ったのだが、なんて言うのかなー、受講者のエッセイが本書の大半を占めていることからもわかるように、ノンフィクションってよりエッセイ講座。
しかもセンセイと私の感性が合わないらしく、センセイの誉めるエッセイは主婦に染まりすぎててちっとも面白くないし、私が唯一個性があって光ると思った作品は、センセイ曰く「上手だが苦手」だそーだし。しかし、p135の講評は、どうなのか。本人も織り込み済みならいいけど、私は傍観者として読んで、厭な感じがした。結婚し、子を生んで家庭を支えててきぱきしてる人が一番偉いみたいな価値観が、そーゆー道を外れた自分とは、合わないのだろ。
俺っちにも跳ね返ることを承知で言うと、受講者のエッセイで一番多いのは自分語りなのだが、果たしてそれを誰が読みたがるだろうかってことね。ワタシ語りをしたい、そんな熱烈な供給はあれども、じゃあソレに読まれる需要はあるのかと。趣味の範囲ならよいのだろうけど。まあ、私はコレ受けないってことで。
川上弘美「どこから行っても遠い町」
どこから行っても遠い町 川上 弘美 新潮社 2008-11 asin:4104412058 Amazonで詳しく見る |
平凡に見える人間にも、ドラマがある。とある街に暮らす人々の姿を描く連作集。
うーん、巧いし引き込まれるところもあるのだが、ちょっと飽きた。
狭い街の住人が次々主人公になってゆくから、気になっていた登場人物にひょっこり再会できたりする喜びもあるけれど、それと物語の面白さはまた別だ。
私が本書を楽しめなかったのは、不倫率の高さもある。不倫は小説やドラマの人気テーマなので、あるのはいたしかたないが、それにしても目新しくもない不倫模様が展開されるとうんざりしてしまう。私の考え方が古いだけで、世間ではこんなのフツーなのか?だとしたら世も末だな。
そして、ある魚屋夫婦で輪が閉じられているものの、各人の(主に)恋愛模様が次々開帳されていくだけでカタルシスがなく、閉塞感を覚える物語だった。市井の人々のありふれた人生に、興味が持てない。私が本書に抱いた感想を一言で表すなら、「蛇は穴に入る」の主人公の言葉を借りて『しり切れとんぼ』。物語の並びに何か作者のこだわりや企みがあったのかもしれないが、私には理解できず。
ゲッツ板谷「超出禁上等!」
超出禁上等! ゲッツ板谷 扶桑社 2005-07 asin:4594049931 Amazonで詳しく見る |
ゲッツがいろんな催しに体当たりチャレンジしていくルポエッセイ、第ニ弾。天久画伯の男くさい漫画つき。
いやー、相変わらず面白いんだけど、一巻の方が文章にパワーがあったかなあ。逆に、天久画伯の漫画はこっちの方がノリがよくて面白く感じられた。
今回、私も見たことがあるのは芥川賞のみ。前作から比べがくっと減ってしまった。おかしいなあ、私はゲッツとは違う文化圏なはずなんだけど…世界って広い。
p.s.どうでもよいのだが、白熊フリースとワッフル地のトップスが何度も出てくるので、お気に入りなのか?と思ってしまった。
あと、HPに年間六十万円って、高くないか?管理費とか独自ドメイン代なんだろうか。無料サーバーじゃだめなんだろうか。
小島正美「誤解だらけの「危ない話」」
誤解だらけの「危ない話 小島 正美 エネルギーフォーラム 2008-09 asin:4885553520 Amazonで詳しく見る |
マスコミ報道の在り方を説くノンフィクション。遺伝子組み換え作物の安全性やBSEなどのヒステリックな報道を批判し、メディアの理想形を語る書。
意義深い内容もあるんだが、タイトルがよくないと思う。
このタイトルで著者の経歴が新聞記者というので、取材からわかった食の常識を読者にわかりやすく解説してくれる本だと思ったのね、私は。
そしたら本書は新聞記者が陥りやすい思考の罠とか、不正確な記事を鵜呑みにすべきでないとか、メディアリテラシーがメインだったんだな。
しかも、安全と言い切る著者の根拠が、海外で流通しているから&政府が安全と定めているから。前者はともかく、後者は納得できないんですけど。 今までマスコミが食品のマイナス面を喧伝してきたから、このくらい擁護してバランスをとっているのかしら。
有益な情報もあるのだが、釈然としない本であった。
穂村弘「現実入門」
現実入門 穂村 弘 光文社 2005-03-23 asin:4334974775 Amazonで詳しく見る |
歌人が世の中のあれこれに挑戦していく軽快な一冊。
かねてから評判のよい著者のエッセイを読もう読もうとは思っていたのだが、今ごろようやく読書。ユーモラスで楽しい本である。言葉の一つ一つが、研ぎ澄まされていて、センスが良い。
最初は著者の企みに引き込まれていたが、一応同性としてS氏に疑惑が生じ、するとオチが予想できてしまい、残念だった。ああ、疑り深くなければ甘美な世界を味わえたのに…。でもまあ面白かったのでまた読んでみよう。 乙一「小生物語」や森見登美彦「美女と竹林」みたいなユーモアテイストが好きならオススメ。
米澤穂信「儚い羊たちの祝宴」
儚い羊たちの祝宴 米澤 穂信 新潮社 2008-11 asin:4103014725 Amazonで詳しく見る |
旧家の後継ぎと使用人にまつわる、レトロでダークな殺人事件を描く連作集。
全ての物語をつなぐのは『バベルの会』という、夢想家な良家の子女が集う読書クラブである。
狂気に振れたニ編はあまり好みではないが、印象の鮮やかに覆る「北の館の罪人」、異様な家の呪縛が凄まじい「玉野五十鈴の誉れ」、そして、ラストにふさわしい幻想的かつ猟奇的な表題作は面白かった。