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読書の記録

田辺功「ドキュメント医療危機」

ドキュメント医療危機ドキュメント医療危機
田辺 功

朝日新聞社 2007-12-07
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 医療特集の新聞記事に加筆したノンフィクション。

 医療体制危機などの固い記事ばかりと思いきや、糖質をとらないダイエット方法の話題まであって、広く浅く硬軟取り混ぜた内容となっている。タイトルどおり、危機的問題のみを取り上げていたほうが、かちっとした構成になったのではないか。
 現在の医療が抱える諸問題を手っ取り早く知るには適しているだろう。TVなどでよく報道された有名な医療関連ニュースのみならず、医療財政のお粗末さや消費税のカラクリ、歯科医のおかれた厳しい現状など勉強になる。
 ただ、読み物としては新聞媒体の字数制限のせいなのかどうか、少々読みにくい。最初から順に読めばこの国の医療問題がのみこめる…というわけでは、ない。ポイントをつかんで、あとは個々で興味ある問題点を類書で調べた方がよいのかもしれない。
 いいことも言っているのだけど、指摘している医療制度上の問題点は類書〜「ノーフォールト」ノーフォールト医療崩壊医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か「東大のがん治療医ががんになって」東大のがん治療医が癌になって ああ無情の勤務医生活などと同じ。多々類書が出ながら、何ら変わらない現状に絶望する。どうしたら変わるのだろうねえ、日本の医療制度は。
 著者に医師の知人友人が多くてらっしゃるせいか、やや医師に肩入れした内容と映る。医師の顔写真とかはあまり入れなくてもいいのじゃないかと私などは思った。