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読書の記録

森功「診せてはいけない」

診せてはいけない診せてはいけない
森 功

幻冬舎 2001-09
asin:4344001222

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 現役医師として院長でもある著者が、自らのヒヤリハット体験を明かして医療過誤はなぜ起きるのか、その対策を語り安全な医療を享受するためのアドバイスを送るノンフィクション。

 いやあ、いい本だなあ。
 2001年に出た本だが、2006年刊行されマスコミで騒がれた「医療崩壊医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何かで書かれたとほぼ同じ…平等が不平等になる医療報酬の奇怪さ、各医者の技術・知識格差、ミスの発生するメカニズムとその対策、医療過誤を刑事事件で裁く場合の問題点が明快かつ簡潔に(←ココ重要!なぜなら脇道にそれず読みやすいから)記されている。
 本書が出て五年、本書に書かれた問題点が、「医療崩壊」でもそっくりそのまま何ひとつ解決されず残り続けていることには暗澹たる気分になる。
 とはいえ、著者のような医師道に邁進・献身なさっている医師の姿には希望を見る思いだ。セクシャル・マイノリティにはややアレみたいだが(オカマのエピソード参照)、病気になった時にこんな医師のつくる病院にかかれたら心強いだろう。