三浦しをん「仏果を得ず」
仏果を得ず 三浦 しをん 双葉社 2007-11 asin:4575235946 Amazonで詳しく見る |
文楽に情熱をそそぐ青年の芸と恋をさわやかに描く連作集。
掲載誌は「小説推理」だけれども、ミステリーではないのであった。だが、良質な青春小説として楽しめた。なにしろ文楽をブンガクだと思っていたほど伝統芸能に疎い私でも引き込まれたからね。
師匠なんかはステレオタイプだけれど、主人公をはじめてするキャラクターはコミカルな魅力があった。イヤな人物は出てこないしやや出来すぎのきらいもあるが、キャラ立ち小説としてもイケるかもしれない。
ただ、主人公の周囲だけスポットライトを当てた半径2m小説なので、やや女性向けなのかも。
タイトルの意味が深いなあ。著者の文楽エッセイも読んでみたくなった。
p.s.あちらは落語だけれども、田中啓文「ハナシがちがう!」シリーズに近い雰囲気。