読書日記PNU屋

読書の記録

吉田太一「遺品整理屋は見た!! 天国へのお引っ越しのお手伝い」

遺品整理屋は見た!!天国へのお引越しのお手伝い遺品整理屋は見た!!
吉田太一

扶桑社 2008-06-07
asin:4594055222

Amazonで詳しく見る

 遺品整理業を営む著者が、死の現場の悲しみと孤独死の問題を綴るノンフィクション。
「遺品整理屋は見た!」遺品整理屋は見た!の続編である。遺品整理というと、モノだけを片付ければいいかのように思うが、モノとなった肉体の残滓をも清掃しなければならないのだから、たいへんな職業である。感謝されるからやりがいがあるという記述に首肯しきりであった。
 前著に見られた想像の走りすぎや文のたどたどしさは消えて、本書はすっきり読みやすくなった。また、内容も孤独死の啓蒙など社会派的になっており、言葉は悪いが下世話な好奇心を煽るようだった前著よりも好感の持てる内容となっている。
 ラストには法医学者の上野正彦との対談も収録されているが、この対談がなんとも短くあっさり終わっていて、もっと長くてもいいのにと思った。
 いずれにせよ、本書によって人々がいつか必ず訪れる自らの死を意識するようになればいい。

類書のこちらは積読中。死体があった部屋から見えること  遺品整理という仕事