読書日記PNU屋

読書の記録

万城目学「ホルモー六景」

ホルモー六景ホルモー六景
万城目 学

角川書店 2007-11
asin:4048738143

Amazonで詳しく見る

 あの「鴨川ホルモー鴨川ホルモーの世界をさらに広げ、他大学のホルモーサークルや周辺の人々を丁寧に書き起こす短編集。
 いや、しょっぱな「プロローグ」「鴨川(小)ホルモー」が私的にはいまいちで読むのやめっかなと思ったのだけれど、結果的には読んで良かった。そっからあとの話は全部ツボったし、特にラストのプチSF「長持の恋」が切なさのち、さわやかな感動を呼んで秀逸。
 著者が愛情と遊び心を持って本書を編んだのがよくわかった(気がする)。ホルモーなる架空の設定を、巧く実在の場所や人物と絡める手腕が見事だ。贅沢を言えば、短編の配列が「ローマ風の休日」から始まった方が、前作からの移行がスムーズだったと思うけれど。
 前作と違いホルモーの戦いそのものは少ないけれど、若き男女の恋と友情花咲くかわいらしい小説集だ。
p.s.装丁もいいね。イラストも雰囲気に合っているし、単行本の見返しの紙(OKミューズキララ/ ピンク)も可愛い。