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読書の記録

小路幸也「21 twentyone」

21twenty one21twenty one
小路 幸也

幻冬舎 2008-06
asin:4344015290

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 21世紀に21歳になる、21人の中学生。担任が言った言葉を彼らは大切に分かち合っていたが…一人が自殺を遂げてしまい、遺された仲間たちは自殺の理由を話し合う。
 友の死をさぐる意味では、本書を広義のミステリーと呼べるだろうか。主要な人物の思いを一人一人丁寧に綴っていく青春小説でもある。
 ただ、それだけ彼らが近しい存在であることの表現かもしれないのだけれど、キャラが変わっても口調がそっくりで同じ言葉が繰り返し出てくるので、やや単調な印象を受けた。
 登場人物が21人とは多すぎて、それゆえに個々人の事情もさらっと流されてしまうのがちょっと不満。21人でなければならない理由がラスト明かされるので、仕方ないことではあるが。今がつらくとも生きていこうという、ポジティブなメッセージが残り、読後感はよい。