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読書の記録

万城目学「鴨川ホルモー」

鴨川ホルモー鴨川ホルモー
万城目 学

産業編集センター 2006-04
asin:4916199820

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 京都大学新入生に謎の倶楽部から勧誘がきた。うっかりその部に入っちゃった彼らが見た信じられないものとは…ファンタジック青春絵巻。
 こないだ読んだ「鹿男あをによし鹿男あをによしが面白かったので著者のデビュー作である本書を読んでみたのだが、こちらの方がより私好みであった。
 ちょっと自分語りをすると、私は去年あたりから新人作家の小説をほとんど読まないことにした。以前はなになに新人賞と聞けばすかさず飛びついていたのだが、これが読むものおしなべてつまらなくて、面白い本など二十冊に一冊くらいなのだ。そこで世の中の評判を聞いてから読む方式にして楽をしていたわけだが、本書はそんな二十冊の中の一冊であると断言したいくらいである。
 今ごろの感想なので既に同説多数だろうが、敢えて言えば京大青春モノ・男の友情・もてない主人公と清楚なヒロイン・古都に繰り広げられる異様な人物絵巻ゆえ、同じく京都を舞台に京大生が暴れる青春小説を得意とする先達・森見登美彦を彷彿とさせた。あちらはジョニーならこちらはサムシング、あちらの著者は京大農学部、こちらは法学部なのに、何この同じ空気は。京大生がこんなアトモスフィアで暮らしているものなのか、それとも京大文体みたいなものが存在するのだろうか。