読書日記PNU屋

読書の記録

岡田斗司夫「フロン 結婚生活19の絶対法則」

フロン―結婚生活・19の絶対法則 (幻冬舎文庫 お 26-1)フロン―結婚生活・19の絶対法則
岡田 斗司夫

幻冬舎 2007-02
asin:4344409035

Amazonで詳しく見る

 夫婦・家族のあるべき姿を実体験をもとに語る家庭ノウハウ本。
 ツレのおすすめで読んだ本である。タイトルから環境問題の本かと思ったら、違った。まあ、なんというラディカルな本なのだろうか。
 本書で「家庭」というのは、基本的に保護者+被保護者であり、私のように夫婦二人の家は本書における「ファミリー」の対象外である。だから本書の記述がぴんと来ないのかもしれないが、本書のように自由恋愛時代が来るには男女双方が所有欲、独占欲、嫉妬や旧式価値観に基づく安寧から脱却し常に合理的であらねばならないので、まだまだ難しいのではないかと思う。
 医学的に見ても、不特定ではないにせよ、多数のセフレを持つのは性病やがんの原因ともなるヒトパピローマウイルスの感染蔓延にもつながりおすすめできない(著者がフリーセックスを推奨しているのではなく、来たる未来像として推測しているだけなので、念のため)。
 私個人の考えを述べれば、狭く深い人間関係より広く浅い関係が楽、とは必ずしも言えないと思う。どちらもエネルギーを使うことだからだ。狭く深い方があうんの呼吸があって、大勢に気を遣うよりかえって楽かもしれない。
 ラスト、あとがきで語られる著者の家庭が安らぎの場でなくなる経緯にしても、ずいぶん自立した、クールで理知的な奥さんなのだなあ…と感じる。
 性衝動とかは置いといて、愛する人と一日べったり楽しくすごしたい、その気持ちの延長が結婚生活だと私なんかは思うのだが。さらに十年二十年後、本書は早すぎた予言の書と呼ばれるかもしれない。結婚制度の有名無実化を啓蒙する書としても意義深いであろう。
p.s.人類は貴志祐介新世界より」で描かれたように、ボノボのような社会を構築するのだろうか。
p.s.その2 文庫化したので書影にはそちらを使ったが、私が読んだのはツレが持っていた単行本である。フロン―結婚生活・19の絶対法則