川上弘美「風花」
風花 川上 弘美 集英社 2008-04-02 asin:4087712079 Amazonで詳しく見る |
三十過ぎてふわふわ生きるのゆりは、夫の浮気が本気になったことを知らされる。
三十路の専業主婦だった女性が経済的自立を目指し、夫の存在と不在から、自らを見つめなおす自分探し小説。
ううっ、なんてしんどい小説なのだろう。私はヒロイン・のゆりの気持ちが最後までわからなかった。不倫部分は非常にありふれたよくある話なのだが、オトメちっくなヒロインとその叔父にオリジナリティを見た(気がする)。
迷い、揺れ、悲しみ、怒り、耐え忍び、ラストに彼女はある決断をする。ここまで引っ張って、そう来るのか!とびっくりである。読後、ぼかりと心に風穴が開いたような気分になった、小説「風花」であった。
p.s.見返しが前後で色が違っていて、ヒロインの変化を象徴しているよう。凝った装丁だ。