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読書の記録

香納諒一「ステップ」

ステップステップ
香納 諒一

双葉社 2008-03-19
asin:457523611X

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 不思議な香水により(?)死ぬと過去へスキップし、もう一度同じ日をリピートするようになってしまった男の目まぐるしい一日を描くサスペンス。
 誰の記事だったかは忘れたけど、「本の雑誌」のレビューでベタ褒めだったので読んでみた。まあね、ツカミは最高なのよ。なのにリプレイが続くうちに、うんざりしてしまうのだった(私の場合)。まるで、自分では選択できないゲームブック(昔あった、読者の選択により結末が違ってくる仕掛けのある本)を読んでるみたいな気分だ。
 同じく死をリセットに、人生を短期サイクルでリプレイするとても優れたミステリー、西澤保彦「七回死んだ男」七回死んだ男 (講談社文庫)を既読だったので飽きたのかも。
 中盤はそんな感じでかったるく感じたが、クライマックスは伏線も一気に説明されるし、主人公の目的意識もはっきりしてそれなりにヒートアップ。ラストもいいムードなのだが、読後どこか釈然としないのは香水の効果が信じがたいことと、主人公が裏のプロな割にはドジすぎて今一つ魅力に欠けること、そこまでカノジョに惚れる理由が伝わって来ないからかなあ。