海堂尊「ジーン・ワルツ」
ジーン・ワルツ 海堂 尊 新潮社 2008-03 asin:4103065710 Amazonで詳しく見る |
クール・ウィッチと呼ばれる切れ者産婦人科医・理恵。彼女の企みは医療崩壊の歯止めとなるか?
最近この著者の作品はまず結論に訴えたいことありきで、物語は無理くり結論に奉仕するだけの存在としか思えず感心しなかったのだが、本書は素直に楽しめた。
生殖医療を基礎から社会情勢まで含めて、ストーリーに絡めて語り切る力技なのに、展開に無理がないのだ。少し想像すれば、ヒロインの手札の大半が中盤で透けて見えてしまうが、人間味あふれるキャラの魅力に支えられラストまで疾走した印象。
発生学、産科学、医局解体とスーパーローテイト制、医療崩壊、代理母問題などをこのページ数で語り、しかもエンタメでありうるのはさすが。
p.s.タクくんのエピソードのモデルは、ひょっとして教師になったあの人?
しかし、25ページ7行目のセリフはないわ〜、ちょっと直截的すぎると思う。