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読書の記録

田中ひろみ「わたしがナースを辞めたわけ」

わたしがナースを辞めたわけ (知恵の森文庫)わたしがナースを辞めたわけ
田中 ひろみ

光文社 2003-09
asin:4334782418

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 上司からのイビリがひどくて、一年で看護師を辞めイラストレーターとなった著者のナース時代振り返りエッセイ。
 最近わけあって医療系エッセイをリサーチしているので読んでみた。
 えーと、ゴーマンかましてよかですか?親の欲目で手に職を付けさせられ、職場の人間関係に悩み一年で病院を辞めた自分は(私の場合、セカンドライフはいまだ迷走中だが)著者と少しばかり状況が似ていたと思う。だからこそ、これはどうかな?という点も多々見えてくる。
 まずは志望動機。認識が甘いと言わざるをえないが、それは若者にはありがちなことなので置いておく。それから、職場の選択。楽そう、楽だったからで選んだら絶対失敗する。それは自分もそうだったから断言できる。
 著者以外にも複数のナースが辞めており、上司は確かに人格的に問題のある人だったろう。だが、いびられるのはミスをした時なのである。ならば、ミスをしなければよい。私の乏しい経験から言っても、日本の医療業界は新人教育システムが整備されておらず、技術は見て盗め的中世ギルド職人気風なのだから、わからなければ先輩が引くほど積極的に自分から尋ねまくるしかない。
 他人のミスを幾度もなすられそうになった自分から見れば、叱り方に問題がありこそすれ自分のミスで自分が叱られるのは仕方ないと思うのだがな。
 著者の実体験だがかなりのネタが小林光恵・原作、佐々木倫子・画のナース漫画「おたんこナース」とかぶっており、看護業界の光と闇をあまねく取り上げた点で「おたんこナース」は名作だったのだなあと改めて認識した。