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読書の記録

貴志祐介「狐火の家」

狐火の家狐火の家
貴志 祐介

角川書店 2008-03
asin:4048738321

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 女性弁護士・青砥と防犯コンサルタント兼泥棒・榎本が密室事件の謎を解くミステリ短編集。

 この主役コンビは「硝子のハンマー」硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)で活躍した二人だそうだが、前作にあまり感心しなかった自分にはほとんど印象がない。それでも本作はユーモア(悪ふざけ?)と企みに満ちていて予想外に楽しめた。

 ラストの書き下ろし作品などはふざけすぎのような気もするが、ペット偏愛が楽しい「黒い牙」は出だしからラスト一行までぞくぞくとして、めちゃめちゃ面白かった。

ミステリ的な仕掛けも凝っており、端正な短編集であると思う。惜しむらくはシリアスな場面とユーモラスな場面とのバランスがややよろしくないところかな。この辺は読者の好みによると思うが…。